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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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僕だって!-9

ガランとした学校にある人気の無い物置小屋付近。
そこで僕は、傷ついた彼女を想いっきり抱き締めた。

「う…ひっく、杏…ゴメン本当に…、護るって、言ったのに」
「絆、そんなアンタが泣いてどうすんのよ…」
「だってぇ」

頬に絆創膏、昨日彼女と別れた後、確かに何時もと変わりは無かった。しかし見慣れた
 自宅が見えてきて、警戒心を全て取り外し、駆け足で笑みを浮かべ帰宅しようとした
 所を、背後から灰色の服を纏った背の高い眼鏡を掛けた20代くらいの男に突然押し
 倒され、そいつの下敷きにされ、激しく抵抗すると所持してたナイフで顔を斬られ
 無理やり上着のボタンを乱暴に外してきて。
 たまたま通りすがった近所の人の声を聞き、男はそのまま走り去ったらしく。

「ほーらぁ、もう泣かないで!暫くの間お父さんが車で迎えに来てくれるって言うから
 もう昨日見たいに襲われたりしないから、安心して」
「杏…」

そう口にする彼女の顔は笑顔だ、でもその裏ではとても傷つき泣いている。


「はぁーー」
「先輩…」

油断していた、あの時僕は彼女の不安を取り除く事ばかり考えていて、周囲の気配何て
 まるで考えていなかった、冷静に考えればターゲットの近くに人がついていて、それを
態々堂々と狙いにくる真っ正直なストーカー何て居る筈が無い。
 僕と別れ、一人になった所を気配を隠しずっと待ち伏せていたのだろう、クソッ!

やはり警察でもない僕何かじゃ、あまりにも無力なんだろう、犯人をとっ捕まえるとか
 大口も良い所だろう。今更再び一緒について行ったって結果は同じ、襲われはしないが
犯人もやってこない、例えそれが暫く続き被害に遭わないからと言って、それで良い筈が
ない、家で無言電話や不気味なプレゼント、何よりお縄に頂戴しないかぎり不安は取り除けないもの…、僕は彼女を護る自信を無くてしまった。

「くそっ!何で彼女がこんな目に、一体杏が何をしたと言うんだ!」

僕はやり場の無い怒りを、無意味に部室へと散乱させた。

そんな僕を見兼ねた伊藤サンが筆を走らせつつ口を開く。

「しっかりなさい、昨日のあの決意は何処へ行ったの?」
「でも!。大体もう一度立ち上がった所でまた同じ事が」
「好きな子の為でしょ!こんな所で諦めてどうするの!」
「それは…、こーなったらか弱い体に鞭打ってでも」
「伊藤サン、そうは言っても打つ手が無いんじゃどーしょうにもないでしょ」

彼女の為に様々な意見を言い出す後輩達。

「…こういうのは気持ちの問題でしょ、先輩が老体に鞭打ってでも頑張るならそれが
正しいじゃない。」
「でもなぁー、何処まで上手く行けるか。」

誰が老人だ、でも彼女の言うようにやれるだけの事はすべきか。
 そう考えて居ると、伊藤サンがおもむろに鞄からあるプリントを取り出してきた。

「?伊藤サン、それは何?」

しかし僕の質問に答える事無く、ただ黙ってその用紙を手渡して来て。
 ゆっくりとそれに目をやると…

「井吹舞探偵事務所?」

印刷されたプリントに、そう書かれ、その中にストーカー調査と言うのもあって。

「警察は証拠不十分、素人が独断で乗り出すのも無謀、だったら残る手段はこれしか無い
と思うの」
「……」

よく見たら二枚目もあり、そこにはストーカー調査のページが印刷されていて、無言電話
付きまとい、汚物送付、など実際彼女が遭った事も書かれていて。

「ここに、えーとぉまずは電話すればいいのか?」
「まぁ、するかしないかは部長次第だけど…」

悪魔で参考意見な訳だ、それは言えてる。

「でも、何か事が大げさでしょう、高校生がそんな所に電話って」

加藤君の意見も確かだ、突然まるで円の縁も無い全くの初めての探偵の存在、幾ら彼女
を助けたいからって話が飛びすぎなような。
 そう戸惑う僕に背中を押すように、そのプリントにある言葉が添えてあり、それに目を
やると。

ストーカーを放置して、自体が好転するケースはほとんどありません。

続いて、むしろエスカレートしていくだの、この前の僕が彼女に言った事がそのまま
 書かれていた。

そうだ、今は戸惑ってる場合ではない、探偵に頼んでそれで問題は解決出来るのか
 絶対の保障は無いだろう、しかしこの方法が一番効率が良いのなら、やらない手は無い

「よしっ!早速電話しよう」

僕の決意に、伊藤サンが笑みを浮かべる、しかし加藤君の表情は濁ったまま。

「でも先輩、お金の方はどうするんです?依頼料」
「あっ」

盲点だった、そりゃー向こうだってお金は取るさ、見ると三万円と書かれていて。
 口を開き、固まっていると、ふとある事を思い出し、後ろの絵の飾ってある絵に振り向き…、閃く。

「どうやら確定のようね」
「うん、ありがとう伊藤サン」
「よしなさい、たまたまテレビでそういうのが放送されてて、時間があったから軽く
 調べて見ただけよ」

伊藤サンが渡してくれた用紙にはストーカーのページ以外のは印刷されていない。
 彼女の親切が目に見えてくる。

よーし、待っててくれ杏

僕だって君を救えるんだから!






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