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仮住まい
【その他 官能小説】

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仮住まい-3

 神谷の腕が後ろからウエストに巻きついてきた時、奈緒子は体を走り抜けた快感に思わず悲鳴をあげていた。
「すいません」
驚いたのだろう、咄嗟に離れかけた腕を奈緒子は自分に引き寄せて体を預けた。
「いいの、いいの……」
ふたたび抱かれ、ベッドにもつれていった。期待以上に性感が過敏に弾けたのだった。

 二階には寝室が三部屋ある。それぞれにベッドがあり、二部屋はツイン、一つだけダブルベッドが入っている。
 なぜダブルにしたのか、父に訊いたことはなかった。すでに母はいなかったし、私や兄夫婦のためだったとしても、一部屋だけなのは分からなかった。
 そこを使ってもらおうと、寝る前にお風呂をすすめ、その間にざっと掃除をした。

(どうしたらいいだろう……)
掃除をしながら、気持ちは昂揚していく。一緒にいるうちに、少しずつ、膨らむように抱かれたい想いが募ってきていた。
 心の空いた穴……。
(入ってきてほしい……)


「ゆっくり休んで……」
「ありがとう……」
二階に上がっていく神谷を見上げながら、言ったのは精一杯の示唆のつもりだった。
「お風呂に入ってくるわ」
神谷が階段の中途で立ち止まり、奈緒子に目を向けず、しかし、はっきりと頷いた。

 それで暗黙の了解が交わされたと確信は持てなかった。
(だって、昨日会ったばかり……)
奈緒子の部屋は隣りということは伝えたが、彼のほうから忍んできてくれるかしら。
(いや、それは、たぶん無理……)
感情が昂ぶっても抑制するタイプのような気がする。ましてや自分の立場を考えたら、あからさまな行為には出られないだろう。
 そんなものを飛び越えてもいい状況にはなっているのだが……。

(だめなら、明日がある)
風呂から出ると水を持って部屋を訪れた。
「昨日から、疲れたでしょ?」
「うん。そのはずだけど、そうでもないんだ。あなたのおかげかな……」
その言葉に誘われるように奈緒子はベッドに腰掛けた。
「いろいろ連れ回しちゃったわね」
「楽しかった……」
「それならいいけど……」
ふっと息を抜いた時に神谷の腕に包まれたのである。


 乳房が揉まれて項に唇が押し当てられた。パジャマの下には何も着けていない。
「うう……」
一瞬で愛液が堰を切ったように溢れた。熱をもった快感に全身が支配された。

 パジャマの裾から入った彼の手は生の胸を被ってきた。
「ああ……」
乳首が摘ままれ、
「くう!」
痺れに貫かれて力が抜けた。
(もう、だめ……)

 仰向けになり、奈緒子は自らボタンを外して胸をはだけた。目を閉じていたので見えないが、神谷も脱ぎすてた気配があった。
 乳首に息が吹きかかり、口に含まれた。
「ああ!感じちゃう!」
声を出さずにはいられなかった。
 舌が転がり、唇に挟まれる。
「うう!うう!」
体が波打ってとまらない。抱えられた神谷にぶつけるように女体はうねり続ける。

 彼の手が尻に差し込まれ、腰を浮かせるとパジャマが引き下げられて下半身があらわになった。
 反射的に脚を閉じてよじったのをやさしく開かれた。粘着音がきこえた。
「ああ、いや……」
そこは夥しい蜜液に塗れている。
 薄目を開けると神谷の顔が股間に迫っていた。
(ああ……くる……)
目を閉じ、身構えて唇を受けた。

 どんな声を発したか、自分で記憶がない。気がつくと彼の頭を脚で挟みつけていた。
舌先が触れる秘核から閃く快感は息をつかせぬほど絶え間なく飛散する。
「ああ!気持ちいい!気持ちいい!」
もう何も考える余地はなかった。

 太ももを抱えた神谷の腕が伸びてきて乳房を掴み、両乳首を同時に摘んだ。
「ヒッ!」
秘核と連動して火花が散った。奈緒子が股間に埋もれた神谷の頭を押し付けて叫んだのは間もなくのことである。
「イクゥ!」
デコボコ道を車で疾走しているみたいに体が翻弄された。
(どうなっちゃうの!……)

 意識を失っていたのか、それとも快感の余韻とともに眠ってしまったのか。気が付くと横にうつ伏せの神谷がいて煙草を吸っていた。布団が掛けられてあった。
 目が合って、微笑み合った。恥ずかしくて言葉が出てこなかった。

 彼の背を摩り、下へと移動していった。
「いいの?」
「うん……」
ようやく言葉を交わした。
「でも、今日危ないから、中に出さないで」
「うん。すぐ終わると思う。久しぶりなんだ……」
「私も……」
起き上がった神谷は裸だった。漲ったペニスを垣間見て、奈緒子はゆっくり脚を開いた。秘部はまだ熱く火照っている。

 裂け目に先端を感じたとたん、
「あうう……」
滑らかに、しかし胎内に響くほどいっぱいに『男』が押し入った。
 (たぶん根元まで入ってる……)
ふたたび快感の嵐がやってくる。……

 神谷は溜息をつきながら動かずにいた。
「いい気持ちだ……」
感触を味わっているのだろうか。
 奈緒子が腰をひねって締めると、神谷は動き始めた。
「ああ、出そうだ……」
「いいわ、出して、外に」
間もなく前傾しながらピッチが速くなり、呻きながら引き抜かれてへその辺りに放たれた。痙攣しながらペニスを扱く神谷の顔は苦悶の表情に見えた。


   


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