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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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彼女を、支えるもの…-11

静寂に包まれた居間、時計の針は8を刺していた。
 先ほどから落ち着き無く、テレビの前を横切る父。

「もう、少しは落ち着いてよ、うっとおしいなぁ」
「これが落ちついてられっかよ、アイツが戻って来ないんだぞ、こんな事初めてだ」

そう、母が帰ってこないのだ、父が母に「習いモノに行ってくる」って伝え、それっきり
こんな事は本当珍しい、普段なら必ずといっていいほど、7時前には帰ってくるのに
 そりゃーたまに遅れる事はあるが、私達の食事も作らずこんな夜更けまで、父がさっきからケータイを確認するも連絡が来た様子もなく。

「杏、大丈夫か?腹空いてるだろ?先にピザでもとろうか?」

父にしては優しい言葉、いや普段はこんなんだ、あの時はついカッとなったのだろう、気が短いところはあるが、以前母が父にこばした言葉を思い返す。

「いいよ、こんなんじゃ心配で喉に入んないし、まして二人だけでそんなの食べたら悪いよ」
「ほぉー、俺が残業で汗水垂らして働いてる時に、お前ら揃って豪華な寿司を拝借しといてよく言うぜ」
「してないよ!大体お父さんあの後、酔っ払って帰ってきたでしょ、何が」
「あぁいやあれは」
「そうだよねー、上司との付き合いも仕事だもんねー、汗水垂らして残業、当らずとも遠からずねー」
「ぐぅ、お前性格悪いな」

微笑ましい親子の会話は兎も角、本当に心配だ、夕飯の心配よりも母を優先する父
 ふっ、あれはあれでお母さんの事、愛してるんだな。

「もー、我慢の限界だ、ちょっとあいつの習い事先に電話しよ、電話な」

ケータイからの電話は既にした、しかし応答は無く。ひょっとしたら習い事にに夢中に
 なったのかも知れない、母は花の事になると子供のように夢中になるし。

でも、それで私達の夕飯を作らない筈が無い。そんな思いを棚に上げ、祈りを込めるよう
家の電話に手を掛ける父を見つめる、すると。

プルルルルルゥ

電話をかけようとした矢先のふいの鳴り響く音、固まる父に声を掛け、我に返り受話器を
取る父。

「はい、もしもし、華か!?」

思いは一緒、お願い!
 だが、そんな私達の思いも虚しく出たのは母ではなく。

「もしもし、織原 華サンのご自宅でしょうか?」

受話器の向こうから、知らない落ち着いた男性の声。

「はい、そうですけど、妻に何が」
「落ちついて聞いて下さい、奥さんが交通事故に遭いました」

えっ?

お母さんがっ!?



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