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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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彼女を、支えるもの…-1

「はい、あーんしてぇっ!」

自宅から拝借して来た林檎を、彼の目の前で剥き、カットされた物を口に近づける。

だが、気づいてはいるものの、全く動じず、白いベットの上で腰を上げつつ先ほどカラ
 無意味に食事用テーブルに視線を置く絆。

あれから一週間、私は毎日のように、彼の入院する病院へ足を運んでいる。
 彼の為に、具体的に何が出来るか頭に浮かばないものの、今は兎に角自分に出来る事をしたい……。

「ほれっ、食いねぇー食いねぇー、杏ちゃん特製蜂蜜を惜しみ無くかけたの、超旨いよ」

伸ばした腕を引っ込める事無く、より一層彼の口に近づける。だがそれに対し煙たそうに
顔を背けてきて。

しぶしぶ腕を引っ込め、元気の無い目を、元の皿に移したその時。ガタッと椅子の動く音を耳にし、すぐ様首を横に向け。

「何処行くの?」
「トイレ……」

と、短い言葉で私に振り向く事無く、頼りない背中を向け、ドアノフに手を掛ける。だがその歩き方が実にぎこちなく。彼は足を痛めたのだ、アノ日の飛び降りで。
 居ても立ってもいられない私は、即刻そんな不安定な歩行を続ける彼の元へ駆け寄り。

一瞬私の方に視線を送るも、すぐに戻し、目的地へ淡々と進む彼。特に私に対して「向こうに行って」見たいな事は言わない、まず彼はそんな乱暴な性格ではない。

でも、言葉を発さずものの、顔や態度がそう訴えているように見える。
 私は、彼が転ばないよう、両手の平を絆の両肩に触れ、二人三脚で向かう。

「もういいよ」
「えっ?でも」

急に私の支える手を払い避けようとする彼、ムッとくるも何気に目線を上げると、そこに
男子マークのトイレを目にし。

自分のミスに気づき、呆気に取られていると、もうそこに彼の姿は無く。

私は、トイレ付近の壁に背を寄りかけ、絆が戻るのを待つ。

もう何日経つだろうか、絆の明るく元気な顔を目にしない日を。彼がそんなんだから私まで気分が落ち込み、最近じゃ部活に行っていなく、授業にも集中出来ず、普段一緒に昼休みに体育館で遊ぶ友達や、雑誌を見るクラスメートとも付き合いが途絶え、美術の授業、
彼の後輩である加藤君達を見ると、暗い表情は更に沈み。

川で気持ちよく泳ぐ魚のように、私の今の心境などいざ知れず、医師や看護師、患者に、
その見舞い客が廊下を次々と通りすがり。

ふとその中で、ある光景が私の目に止まり。

「はい、焦らず、ゆっくりねー」
「はぁ、はぁ……んん。」

絆と同じように足を引きずる若い女性が、横にはリハビリテーションの看護師が付き添い
リハビリルームへと、顔に力が入りつつも向かっていき。

ボーとそれに目を追っていると、絆がトイレから戻ってきて、少し私に振り向いた後、病室に戻り出し。私も気づいて彼に近寄り。

「ねぇ、リハビリしないの?」

私の質問に、またもスルー、傷つくな。

今日もか、と思いつつ、病院を後に彼に背を向けると。

「ゴメンね、ありがとう……」
「!!」

彼はそう言い残し、何事も無かったかのように、消えて行った。

「絆…」



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