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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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決意-3

今だ信じられない、絆が、あの子が、運動音痴で頼り無いけど、傍に居て暖かい彼が。
 あの飛び降り事件以来、まともに彼に会っていない、どんな様子なのかも分からない、ただ元気で居るのは断じて有り得ない。

彼は本当に死んだのだろうか?アレはただの夢、昼間の病院も何かの勘違い、でもっ! 彼の顔を拝めない事には、不安と言う黒い霧は拡大するばかりで。

夜も更け、取り合えず自室へ戻る為居間のソファーから腰を上げ戻ろうとしたその時、何かが足元に当たり、それが何かを確認する為、首を下にした途端、向こうから聞きなれた声を耳にする。

「うぉーいおいっ、踏むなよっ、俺の新しいバディーをっ」

何がバディーだ。タオルを巻き湯気が天井に向かって昇り風呂上りの父が、居間に入ってきて。見ると私が蹴飛ばしたのは、買いたての新品の釣竿だ。
 私の父は、無類の釣り好きで休みの日はよく車を飛ばし、山や、港で、竿を振り上げていて、ボウズ(一匹も釣れない事)だとドンヨリと、腰を下げ元気が無く、大物が釣れたりすると、強引に今晩のおかずにしろと母に言い寄り。
 私も特に休日に予定が無い時は、父の釣りに付き合ってあげて、必ず、この世でもっともどうでいい釣り豆知識を、娘の私に教授し、私も帰ったら必ず耳掃除をするのだ。
 釣りを教える時の父の目はとてもキラキラしている、好きなものに熱中すると言う事に
関しては、絆と良い勝負かも。

「どーだぁ、中々カッコいい竿だろうっ!」

と、得意気に新品の竿を立て、見せびらかし。

「はいはい、でもそれ高かったんでしょ?」
「おー、でも大丈夫、ヘソクリの金で買ったから」
「うわぁー、達観してんなぁ、でもこんな所に置いてると邪魔!ゴミかと思ったしょ」
「ゴミとは何だ。まぁいい、それよりお前今度の休み、予定はあんのか?」
「予定はぁー、特に無いけど」
「なら、一緒に釣りいこーぜ、シィラのおっちゃんオメーに会いたがってたぞ」

男臭い釣り場に咲く一輪の花、私が来ると周りのオジサン達が私を手厚く歓迎してくる
 明るく可愛いマスコット的存在らしく、父もそんな素敵な釣りガールを娘に持って
 鼻高々のようで。

「でも、無理」
「何だよ連れねーなぁ、あっ、今のは親父ギャグじゃないぞ、どうしたんだよ?元気ないぞ、お前らしくも無い。」
「……釣り何て、彼に申し訳無いでしょ」

父は思考を巡らす、父も母から絆が飛び降り自殺をした事を聞き、そして私と彼の関係にも、幼馴染と言うだけあって、相思相愛な仲と考えており。

「全く、人騒がせだよな、一人の勝手な行動で、皆が大迷惑」
「なっ、何よその言い方!彼だって好きであんな事」

父の心無い暴言、父は、男のくせに軟弱で娘に苦労ばっかり掛けている彼が気に入らないようで。母は、確かに根性無しとは思ってはいるが、夢を抱き、熱中する事があって、優しい性格である事を知っていて、何より娘である私が好きだと思ったならその思いを疑わず信じてくれて、分らず屋の父に対して色々とフォローをしてくれる。

絆の親も、オバサンは以前にも言ったように私を嫌っているのに対し、オジサンはどうやらそうではなく、口数は少ないものの、「好きなようにやらせてやれ、お前はいつも騒々しい」と、私を悪く言うオバサンを静かに止めていると、絆の口から以前聞いて。

お互い一方に味方はいるが、根本的に私と彼の交際には両家反対なのだ、残念な事に。

「やっぱり、つりあわなかったんだお前らは、前から不自然だとは思ったんだ、母さんに似て騒がしいお前と、暗い彼では。これを機にもう付き合うのはやめろ、向こうの家族だってそれを望んでるだろう、あーそれとつりあわないって言うのは別に」
「五月蝿いなぁ!誰と付き合おうと私の勝手でしょうっ!」
「お前なぁーっ!」

「ちょっと、どうしたの?夜中に大きな声を出して。」

私たちの口喧嘩に、クリーニング屋から帰ってきた母が、口を開け入ってくる。
 母にも、事の事情を話し。

「別れろとか無神経な事言わないでよ、杏だって今複雑な思いを抱えているのよ、それなのに親の私たちがそんな軽々しく」
「いや、だってなぁ俺は杏の事を思ってだな、この先苦労するだろ、アイツじゃ」
「苦労するとか貴方が決める事じゃないでしょ?それに娘の為って、自分が心配なだけでしょ?」
「お前は平気なのか?あんな序著不安定な彼が、娘の彼氏で」
「そりゃー心配よ親なんだから、でも私はこの子が軽い気持ちで絆君と付き合っている訳じゃないのは解るよ、だって彼と居る時の杏の目、とっても輝いているもの。」
「お母さん」
「なら、そんな娘の思いを信じてあげるのが、本当の意味で娘の為になるんじゃない?大人の勝手な考えで、妨げる何てあんまりでしょ!」

何だろ、涙が。やっぱ母はちゃんと解ってくれてる、私は母が親と言うより、一足先に恋と言うものを経験した恋の先輩のように見えた。

「ったく、解らんねぇーなぁ、女の考えはぁ!解ったよ、自重すればいいんだろっ!」
「お父さん」

「だが杏!今度アイツが、アイツのせいでお前が苦しむような事が遭って見ろ!その時は
アイツの家に行ってでも、彼に「もう娘と関わるな」っつって別れさせるからな」

そう言い残し、怒り肩を上げ、竿を抱え自室へ消えていった

「私は、そんな」
「はぁー、あれはあれでアンタの事、心配はしているんでしょうけどね」



 


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