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真里菜の憂鬱
【兄妹相姦 官能小説】

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真里菜の憂鬱-6

(6)


 部屋に戻ってから胸の高鳴りが治まるまでしばらくかかった。ボタンを握りしめていた掌は汗をかいていた。
(これがほんとの亮輔の第二ボタン……)
もし美咲がもらったとしてもそれは三年間身に着けたものじゃない。
 ボタンにそっと口づけた。

 卒業式の後で訊くと、兄のボタンは同級生の女の子に渡したという。
「お兄ちゃん、もてるね」
「ちがうよ。バレンタインの義理チョコみたいなもんだよ」
複数の相手に声をかけて集めてる女子が何人かいるらしい。
「そんな人いるの?」
「うちのクラス、特別多かったみたいだな」
「それじゃ思い出にならないんじゃないの?」
「挨拶代りみたいなもんだろう」
とにかく、美咲に渡らなかったことでほっとした。『偽の第二ボタン』でももらったとなれば有頂天になって報告に来るのは目に見えている。

 美咲はめげない子だった。がっかりはしていたが、落ち込んだ様子は見えなかった。
「ボタンなんて思い出だもんね。過去じゃなくてあたしたちはこれからだから」
『あたしたち』という言い方に真里菜はカチンときた。
「同級生にあげたみたいよ」
「ふーん。でも、思い出としてでしょ?」
「どうかな。一年間一緒だったんだから、よく知ってるし」
「付き合うのかな」
「そうかもしれない。高校も同じだって」
これは嘘である。美咲はさすがに不安げな表情をみせた。
「それ、やばいな……」
ちょっと後味の悪い気持ちだったが、これで兄を諦めてくれればいいのだがと真里菜は思った。


 ところが兄の入学式の翌日、夜になって美咲が訪ねてきたのである。クッキーを持って。……
「入学のお祝いの気持ち……」
この時は両親もいて、居間でみんなで話をした。
「亮輔のガールフレンドかしら?」
母に言われて美咲の嬉しそうな顔ったらなかった。珍しく恥ずかしそうに顔を紅くしていた。
 そして今日、またクッキー……。

『あたしなんか、お兄ちゃんと一緒に寝たんだから。何度も、何度も、抱っこしてもらって……』
『お風呂だって入ったことがある……』
美咲にはっきり言いたい。
『子供の頃でしょ。兄妹なら別にいいんじゃない?』
そう、兄妹。そんなこと言えない。
 でも、『子供』じゃなかった。抱き合って、感じていた。
(亮輔だってそうだと思う……)
何度か激しく抱き寄せられた感覚が残っている。

 美咲はクラスの女の子に『兄』のことを自慢げに話すようになった。真里菜の兄ということは伏せて、
「高校生の彼……」と言った。
「わあ、美咲、彼氏いるの?知らなかった」
「何年生?」
「一年、今年高校に入ったの」
「へえ、いいなあ。うちらの知ってる人?」
「どうかなあ」
美咲が真里菜に視線を送ってきて目で笑った。どういう意味だったのか真里菜には理解できなかった。だた、『彼』という言葉を聞いて体が熱を帯びた。
(付き合ってなんかいないくせに……)

 悶々とした想いが続いたある日、一人兄の部屋に入った真里菜は初めて性の恍惚境に浸ったのだった。

(まだ兄は帰らない)
ベッドに腰かけると抱き合って眠った頃が浮かんでくる。
(お兄ちゃん……)
布団に入り、枕に顔を埋めた。汗や何か、男のにおいが前よりも強くなったと思った。何もかもが『彼』のにおい。気持ちが昂揚してくる。
(ここで二人で寝たんだ……)
兄の体の感触を思い出す。いまはあの頃より背も高くなって筋肉もついて一回り大きくなっている。
 ぴったりしたジーパンがよく似合う。お尻が引き締まって、それに、股間……。
お風呂で見たペニスが脳裏に現われる。振り払っても消えない。
(あの時は中学一年?)
いまはもっと……。

 目を閉じて亮輔を想ううち、右手がいつか下腹へと伸びていた。かすかに、ズキズキとした感覚が起こって体がじっとしていられなかった。
 薄いけれど繁みとなった陰毛を指が抜けた辺りで心地よさの予感が生まれた。これまでもほんわかとした疼きはあったけれど、『熱さ』を伴ったのは初めてだった。
 
 洗浄以外触れたことのない秘められた湿地帯へ指先は滑り込んだ。
「うう!」
一瞬、体が弾けて硬直した。
(なんて……気持ちいいの……)
走り抜けた快感はどう表現していいかわからない未知の感覚であった。体の芯がなくなったような、浮き上がるような、意識が遠のく快感だった。
 指にべっとり絡む液。知識の小箱が次々と開く。
(これがあの液だ。セックスの時の……)
 快感を生むもっとも敏感な部分は指で触ってすぐわかった。電流が走ったように思わず体がのけ反る。
(クリトリス……)
ぬめりを撹拌するように指を動かしているうちに頭の中はごちゃごちゃになっていった。何も考えられなかった。ただ、亮輔の名前だけを呼び続けていた。


  
 



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