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キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい
【ファンタジー 官能小説】

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狼と七人の吸血鬼-3


 ***

 静かな夜風が吹き抜ける野原の道を、アーウェンはラクシュの手をしっかり握って歩く。
 もう街の明かりは遥か後ろで、野原を照らすのは月星だけだ。
 しかし、人狼と吸血鬼の二人には、カンテラも松明も必要ない。ラクシュはゴーグルを額に押し上げて、暗い夜道を満足そうに歩いている。

(やっぱり、行って良かったな)

 実を言えば、ラクシュが元気になっても、星祭に誘うべきか、アーウェンはかなり悩んだ。
 いつも願いことを書かずに、真っ白な紙札を黙って吊るす彼女は、星祭りがあまり好きではないのかと思っていたから。

 あの奇妙な願い事には驚いたけれど、ラクシュなりに何か思う所があるのだろう。
 結局アーウェンは、ラクシュのそんな風変わりな部分すら、愛しているのだ。

「クロッカスさんも、誰かとデートしているのかもしれませんね」

 広場からの帰りに鈴猫屋の前を通ったが、店舗兼自宅は真っ暗だったのを思い出し、アーウェンは何の気なしに呟いた。
 広場で別れた彼は、誰かと待合わせだと言っていたし、エロ猫おっさんが、街のご婦人方から大人気なのも知っている。

「ん」

 ラクシュは短く頷いたが、ふと歩みを止めた。周囲を見渡して、アーウェンの手を離す。

「……アーウェン。心配ないよ」

 とても真剣な声だった。

「ラクシュさん……?」

 驚いたアーウェンの耳に、草花の動く音が聞こえた。
 次の瞬間、アーウェンは靴を脱ぎ捨て、すばやく半獣の姿をとっていた。オリーブ色の毛皮が全身を覆い、瞳が虹彩に覆われる。手足の爪が鋭く伸びる。衣服の中いっぱいに筋肉が膨張し、頭は狼のそれになった。


 野原の中を、影のように緩やかに忍び寄ってくる者たちがいる。
 1,2,3,4……六人はいるだろう。彼らの動きは流れるように緩慢でつかみ所がなく、はっきりと居場所をつかませない。
 足元までの長い黒マントで全身を覆い隠し、黒いフードを目深に被った者たちは、ゆらゆらと波のように揺らめきながら、アーウェンたちを取り囲んだ。



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