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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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向き合う勇気-5

「はぁ」

二人に押され、ある程度自分の過ちに気づいた物の、勇気が沸いて来ない。
 暖かい風を感じ、時より姿を見せるチューリップの花が、僕の心を解し、緑自然感を肌で楽しむ。

とは言え何も行動に移さない訳にも行かず、休みの日に動物園へ一緒に行こう、と杏を 誘ったのだ。彼女は一瞬開いた口が開かなかったものの、しばらくし頬を赤く染め元気良く「うんっ!」と承諾してくれて。

これにより何かが変わるのだろうか?何も変化無く終わるのでは?。そう思考を巡らせ
 何気無く公園に備え付けてある時計に目をやり、顔が青ざめる。
しまった、約束の時間を当に過ぎている。時間には余裕を持ったつもりだったのだが、
 杏の事を深く考えて居るうちに、知らず知らず…。
僕は、先ほどまでゆっくり歩行をしていた道を蹴り上げ、彼女の待つ動物園へ急いだ。

怒ってるかな?

いや、それ以前に溜息をつかせてしまったのでは?

僕の事で色々な事が脳裏に浮かび、自分から約束をして置いて来ないものだから、途中で何かあったのでは?動物園何て気がきではなかったのでは?と、心配しさせてしまったのでは?。
 少しでも彼女を楽にしてやりたいと思ったのに、こんな心労を与える真似をして。自分に腹が立つ。

目的の動物園は、何時に無く賑わっていて、その中で僕何かを辛抱強く待つ女の子がいる
 さっさと入場券を買い、素早く入り口の従業員に券を見せ、いざ中へ。


「遅れてごめーーんっ!」

相変わらず体力の無い僕は、息を切らし両手の平を膝に、入り口で待ちわびたであろう
 杏に力一杯の謝罪を口にする。
 しかし、返事が返ってこない、待たされた事への不満にせよ、それを許す言葉にせよ
 ソレすらない、て事は相当怒ってる?いや悲しんでいてゆえに無言でいる物かと
 しかしその可能性も無かった、何故ならば恐る恐る顔を上げるも待っているであろう彼女の姿は無かったのだから。「あれ?」と思い首を横に振るも彼女の姿は無く、在るのは動物園にありがちな子連れ客の姿で。

僕はありとあらゆる可能性を頭に浮かべた、約束を忘れた、急用が出来た、いやそんな筈は無い、あんなに楽しみにしてたのに、用事が出来たのなら連絡くらいくれるし。
 なら来なかったのか?状況が状況なので、来る気にならなかった、上辺では乗り気な顔
をして。僕は力無く、ポッケからケータイを取り出し、杏に電話をしようとする。
すると、横から聞きなれた明るい声を耳にした。

「あっ!居た居た、おーーいっ!」
「あ、杏?」

振り向くとそこに会いたい人物いた、しかも隣にここのゆるキャラと思われる着ぐるみと
肩を組み、仲つつまじくして。
 僕は、本題を口にする暇も与えてもらえず、彼女のペースに巻き込まれ、そのゆるキャラと杏とで3人で撮影をされ。

「いやー、よー撮れたわぃ!」

役目を終えたゆるキャラは、別の場所へスタッフと共に歩き、動物のいる檻へ向かいつつ
満足気に、僕にケータイの写真を見せる。

「待たせてゴメンね、苦しかっただろう?」
「えっ?何が?」

待たされた彼女から、怒りや悲しみは感じられず。

「だってぇ、何分か待たされたんだよ?僕の方から誘っておいて」
「何分じゃなくて、何十分、でしょ?」
「はぃ…」

待たされたのは事実のようだ、では何故?。

「ツイてるよ私、だってあんなオモロイゆるキャラに出会えたんだもの、待たされでもしなかったら、今頃動物のいる檻の方へ向かい、記念撮影何て出来なかったジャン」
「そりゃー、そうかも知れないけど」
「もークヨクヨしてもしゃーないって!ほれ、私イボイボシシが観たい、早く行こーぜ」
そう言って、とっとと先へ走ってゆき、僕もイマイチ腑に落ちないものの、彼女の背中を
追い。

それから例のイボイボシシは産休に入っていて、檻は空っぽで、彼女は落ち込む事無く
 次に、マウンテンゴリラを観て、餌やりイベントがやっていて、元気良く「はぃはーぁいっ!」と、手を思い切り挙げ、ゴリラにバナナあげたり。可愛いゴマのアザラシの親子を観ては手を振り、同行者として多少恥じを抱きつつも、僕はそんな明るい彼女を見ていると心が落ち着く。

こんな素敵な人から避けていた、何てとんでもなかった。

動物園での楽しい日々も後半へ入り、改めて気合を入れて、楽しもうと決意する彼女、しかしそんな僕らの気分に横槍を入れる様に、急に天から雨が容赦なく降り注いで来て。

「あぁーあ、これじゃ貴重な鹿の出産に立ち会えそうにないね」

歩いている途中、僕らは、屋外で鹿の出産ショーが開催されいている事をアナウンスで知り、二人してワクワクしていたというのに。しかし彼女はまたも意外な事を口走る。

「確かにね、でもこうして大雨の動物園何て初めて見た、きゃはっ♪」

そう話す彼女の顔に無理を言って居る素振りは感じず、ランチを終えたコテージから次々と雨で動物園を後にする人々を目にする。

こんな憂鬱な状況でも笑って居られるなんて
君って人は……。


 


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