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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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6.幽囚-5

「せっかくのコーデなんだしぃ。ブーツのまま入ってきていいよぉ? イヤでしょ? こんな部屋に裸足で入るのさ」
 まるで悠花の心の内を見透かしたかのように言ってくる。気味悪く思いながらも、
「確かに気持ち悪いね。そうする」
 指をブーツから離して、そのまま一歩目を台所の床の上、垂れ落ちている精液を避けた場所へ置いた。カナダでは部屋の中でも靴を履く生活だった。とはいえ海外では靴置きのスペースはなく、玄関から床続きなのが普通だ。三和土から一段上がるような日本的な家屋構造へ土足で上がる、その後ろめたさがあまり気にならないほどに、男と対峙する覚悟ができた自分に少し驚いていた。
(これなら……。きっと、すぐ終わる)
 コトッ、コトッ……、足音を立てて台所の床を数歩歩き、男の傍を抜けて、ガラス戸の開かれた奥の部屋に入った。
 台所の灯りが差し込んで、床に自分の影が映る。畳敷きのようだ。普段の生活の中で座ったり寝転んだりして、足裏だけではなく体中を接地してるだろう。そんな畳の上へ素足で入ってこなくて、本当によかった。
 そんなことを考えていると、男が入ってすぐのところにある壁のスイッチを押した。
 ここに取り付けられている蛍光灯も古く、しばらく点滅した後に、やっと部屋が明るくなった。六畳間の造りは本当に古いが、散らかってはいなかった。どちらかというと、綺麗に整頓されていると言っていい。しかし、あまり生活感を感じなかった。
 部屋の中には、三つのものが置いてあるだけだったからだ。
 1つはノートパソコン。おそらく、あの中にも、悠花がここにやってくる原因となった画像が入っているのだろう。もう一つはダブルサイズのエアマットだ。新しい物らしく、不潔感は無い。
 だが、そのエアマットでこれから何をするつもりなのか……深く考えてしまうと頭がおかしくなりそうだったから、目を別の所へ移した。
 そして目線を巡らせた先には――壁に釘止めしたのだろうか、高さ2m以上あるだろう、横幅もかなりある大きな鏡があった。キャットウォークやポージングの練習をするために利用するスタジオにある、壁全体を覆うミラーに比べると小さいが、こんな狭いアパートで壁の半分を占めるほどだと、より巨大に思えてしまう。
「何? あれ」
 脚の片側に重心をかけるようにして、背筋を伸ばして立った悠花は、顎で鏡を指して問うた。
「これ? 今日のためにわざわざ買ったんだぁ。結構高かったんだよ」
 村本はその傍をするりと抜け、エアマットの上を渡った。
「何のために」
「くくっ、何のために、……かなぁ?」
 ニヤけ顔を向けて言われると、
「キッモ……」
 もう街中ではないから、気を使う必要はなかった。だが男は、そんな悠花を楽しむような表情でいる。余計に癇に障った。
「それにしてもぉ、悠花ちゃん。そうやってこっち睨んできてる、ってことは、俺のハダカにもちょっと慣れてくれたってことかなぁ? ……コイツ、にもね」
 男は悠花の目の前で少し腰を落とし、勃起しっぱなしの男茎を握ってみせた。
「……。もともと、何でも無いけど。ホントに汚いな、って思ってるだけ」
 挑発だ。いちいち取り合ってると、余計苛立たされるだけだ。
「ふふっ、じゃぁ、悠花ちゃん。サングラス、取ってよ」
「何で取らなきゃいけないのよ」
「だぁってさぁ〜……、せっかく二人っきりになったのに、悠花ちゃんのお美しいお顔、見たいじゃん?」
「あんたになんか、見せたくないって」
「あはっ……」
 例のキモ笑いを浮かべた後、片手でノートパソコンを拾い上げると、キーを押した。「これでも?」


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