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幽体交歓
【その他 官能小説】

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幽体交歓-3

ワイはそのクリトリスを指先でそっと擦った。クリクリと転がすようにすると、頭の芯がぼーっとなってきたんや。そしてどういう訳かワイの男の亀頭まで指の刺激が伝わって来た。つまり感覚が重なり合って共振しているようなもんや。
 そしてワイはもう一方の手で膣の中に指を入れてゆっくり出し入れし始めた。それがとっても良い気持なんや。女ってこんなに感じる所があるなんてずるいやないか。
 そのとき娘は目を覚ましたらしい。『なに? 私何してるの?』そんな心の声がワイの心の中から聞こえて来た。『きっと私は夢遊病よ。そうか、きっとこんなことをしたかったんだ、私。いやいやいや。こんなことしちゃいけないわ。目を覚ませ、私。しっかりしろ。どうして手が止まらないの。ああ、力が入らない。止めようとしても手が勝手に動いてる。ああ、私の中にもう1人の別人がいるみたい』
 ワイはこの言葉に一瞬どきっとしたが、構わず続けることにしたんや。
『でも気持ち良いわ。体が熱くなる。もうやめられない』
「ああ……変な感じ。やめて……やめて」
 娘がとうとう本当に声を出したんや。ワイはびっくりして娘の体から飛び出た。
 娘はきょろきょろ辺りを見回していたが、中途半端な感覚に耐えられないのかオナニーの続きをし始めた。そして声を漏らし痙攣した後、ぐったりした。
 ワイはそこまで確認すると自分の部屋に戻ることにした。ワイが壁を通り抜け自分の本体に戻ると一遍に快感が来て射精したんや。まるで娘とセックスしたような感覚やった。
 
 翌日ワイは昼間はぶらぶらして外で過ごしたんや。そして夜になってまたベッドで幽体離脱を試みた。
 ワイの体はスムーズに壁を通り抜け娘のベッドに来たが、娘はいなかった。それで居間を覗くと娘はバスローブを着てワインを飲んでいたんや。
 ワイはあの感覚が忘れられなくて娘の体に飛び込んだ。するとなにやらその勢いで娘の幽体が体の外に弾き飛ばされてしまったんや。
 ワイの目には半分透き通った娘の幽体がお尻の長い紐のようなものをつけたまま飛んで行ってしまったのを見た。ワイはこの紐が『魂の緒』だなと思った。ワイは魂の緒の先を辿って行った。するとなんと娘はワイの体に潜っていたんや。ワイは娘の体から頭だけ出して壁の向こう側を覗いて、それがわかった。
 つまり器を失った魂が一番手近にあった空の器を見つけて潜り込んだって訳や。ヤドカリみたいな話やなあ。
 ワイの体に潜った娘はワイの声で驚いて悲鳴を上げた。
「なんだこれは? 私は男の体になっている。一体誰の体なんだろう」
 そして浴室に行って鏡を見たらしく、また悲鳴を上げた。
「これって隣の男の人じゃない? じゃあ、私の体は隣の私の部屋にあるのね」
 そしてドンドンとドアを叩く音がしたから開けるとワイの体に入った娘が怒って立っていたんや。ワイの体を捕まえると、男の力でワイをねじ伏せて床に組み敷いた。
「さあ、あんたはもしかして隣の男の人? 私の体に入って何をしてるの? 出て来なさい。私の体を返すのよ」
「わかったから。返すからちょっと体を起こしてくれよ」
 ワイは娘の声でそう言った。娘はワイの体を起こしてくれた。そのときワイはワイの体に抱きついてワイの唇に吸い付いた。するとワイは娘に口付けされている男の感覚と男に口付けしている娘の感覚を同時に感じるのや。そしてそれは娘も同じなんや。
 娘は男にキスしている自分の感覚と、女にキスされている男の感覚を同時に味わっているんや。だから拒絶するのとは違った快感のようなものに支配されている筈や。事実ワイ自身がそうなんやから。
 ワイは舌を出して口の中に入れた。すると娘も舌を絡ませて来た。それが男の感覚でそうしたのか、それとも女の感覚でそうしたのかは本人にも分からなくなってる筈や。ワイ自身もそうやからなあ。
 ワイは男の手を胸に導くと乳房を揉ませた。するとワイの女の感覚が気持ちよくなって、それが娘にも届く。そうすると娘は男を使って更に胸を揉み続けるんや。
 それだけでないんや。娘は男の感覚で女の胸を揉むことの快感も味わっているんや。しているのとされているのが同時に感じて相乗効果でどんどん気持ちよくなりどんどん止まらなくなるんや。
 自然に2人は服を脱ぎ捨て裸で抱き合った。そしてついにワイは女の股を広げて男の物を受け入れたんや。ワイは同時に女のあそこに自分の物を挿れている感覚を味わっていた。お互い触られると気持ちの良いところを触りながら、口々に刺激的な言葉を吐き散らしながらピストン運動を速めて行った。
 それは相手も同じや。それに感じている感覚は2人とも全く一緒や。まさに一心同体の交わりなんや。肉体だけやなくて魂も交わって交歓し合ってるんや。
 そして男の射精と女の頂点が一緒になるように自然に調整がされながら、ワイらは上り詰めて行ったんや。
「「ああ……逝く逝く!」」
 それは激しいもんやった。肉体だけじゃなく魂も震えて痙攣し続けたんや。ビクンビクンと体が痙攣して心も震え続けていた。何故か涙が出て来たんやが、それは娘も同じやった。そして気がついたんやが、頂点に逝ったとき魂は入れ替わって元通りの位置に戻ってたんや。
 ワイはそのとき誰かに首根っこを掴まれた。すごく強い力だった。
「貴様ぁぁぁあ! 妹に何をしてるんだ」
強面の男がワイの喉元を掴んで、パンチをしようと手を上げた。
「お兄ちゃん、やめて! この人を殴らないで」
 ワイと同じく裸になったまま娘はワイと男の間に割り込んで止めた。
「この人は私の大事な人だから。こんな人は二度と現れないのよ。だって」
 娘はそこで言葉を切ると、ゆっくり後を続けた。
「だって……2人分の喜びを私にくれる人だから」

         完


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