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キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい
【ファンタジー 官能小説】

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ラクシュさんがアーウェンくんに、イけないことをしていまーす-2


「俺を縛ったりして、一体なにを……」

 浴室は、二人で入っても十分な広さだ。
 家の建て主は風呂好きだったらしく、温水シャワーや排水溝の浄化装置などの設備が整えられ、乳白色のバスタブや床は、遺跡から発掘される特殊石材の一種で造られていた。
 強度はあるのに普通の石とは違い、身体をぶつけてもそれほど痛くはない。それに保温に優れ、身体や湯がすぐ冷えてしまうのも防げた。
 家を買い取ったときには温水機能も壊れ、荒れていたが、綺麗に掃除をして新しい魔道具を設置した結果、庶民階級には信じられないような風呂になった。
 アーウェンもこの浴室は好きだし、ラクシュと一緒に入りたいと密かに渇望していたのは確かだ。
 しかし、自分が縛られているのは、まったくもって想定外である。

「ん……考えた」

 重々しく頷いた彼女は、薬液の入った瓶を持っている。
 薬草と香料を混ぜた液体石鹸のようなもので、泡はまったくたたないが、汚れはよく落ちるし、疲労回復の効果もある代物だ。

「アーウェン、私と特訓、する。少し、待てるように、なればきっと……服、破かない」

「特訓……っ!?」

 聞き返すと、ラクシュが瓶を傾け、薄水色のトロリとした液体を、アーウェンに振り掛けた。
 花の香りが立ち昇り、彼女はソースでもかけるように、無言で薬液を振りかけていく。自分にもふりかけ、二人とも十分すぎるほど薬液まみれになると、ようやく瓶を傍らにおいた。
 そしてアーウェンの両腕を首に回し、上半身を密着させて抱きつく。

「うわっ!?」

 密着した互いの素肌が薬液で滑り、なんとも言えないぬりゅんとした感触がした。

「あっ、ちょ……ラクシュさん!!!???」

「ん……動くの、ダメ……きみは少し、我慢、する……ん、ん……」

「だ、ダメって……っ、く、ぅ……っ!!」

 首筋にだきついたラクシュは、少しだけ腰を浮かせると、身体を擦り付けはじめた。薄い小ぶりの胸も密着し、硬くとがった先端がアーウェンの胸にコリコリと擦れる。

「ラクシュさんっ!!」

 荒くなり始めた息の合間から、悲鳴混じりに抗議の声をあげた。
 ぬるつく肌から伝わる性感と見せ付けられる痴態に、昨夜あれだけ吐き出したのに、アーウェンの雄がたちまち反応し始める。
 人狼の体力は底なしと言われるほどだし、薬液の疲労回復効果もあるのだろう。薬液が塗りつけたられた箇所から、じんわりと暖かさが染みこんでいく。
 しかし、くちくちと音を立てながら素肌を滑らされ、心地よい暖かさは、たちまち淫靡な熱となった。

 ラクシュは無言で身体を擦り付け続ける。
 一番熱くなっている雄へも、ときおり柔らかな太腿や際どい付け根が当たり、中途半端な快楽を与えてはすぐ離れる。
 薬液なのかラクシュの内側からこぼれる蜜なのか、とろとろした熱い粘液をまぶされた雄が、ヒクヒクと震えた。
 普段は無表情なラクシュも、抱かれて感じているときには、快楽に表情を蕩けさせるが、首筋に顔を埋めているので見えない。
 ただ、わずかに甘い吐息が漏れ、ときおり小さく息を飲むのも聞えた。
 それが余計にアーウェンを煽り、組み敷いて思う存分に抱きたいという欲を燃え立たせる。

「は、ぁ……ラクシュさ……反省してます……からっ!」

 涙目でアーウェンが訴えるのに、それほど時間はかからなかった。
 気持ち良いのに、もどかしくて苦しい。
 十分すぎるほど煽られて、今にも欲を吐き出してしまいそうなのに、決定的な刺激をもらえず、寸前でお預けをくらい、飢えだけが募っていく。
 ピタっとラクシュが動きをとめ、首筋に埋めていた顔をこちらに向けた。白い頬が濃い色に染まり、赤い瞳が情欲に潤んでいる。
 きっぱりと、首を横に振られた。

「まだ、だめ」

 濃い桃色の小さな舌で、アーウェンの唇をペロリと舐めてから、柔らかく塞がれる。ゾクリと腰まで甘い疼痛が走り、くぐもった呻きを出した。
 自棄になり、口の中に忍び込んできた舌を捕らえ、夢中で自分の舌を絡ませて吸い上げる。

 非常にローテンションと見えるラクシュだが、意外と熱血体育会系な部分があるのを、長い付き合いでアーウェンは知っている。
 だからきっと、今日も非常に一生懸命に努力して、アーウェンを躾けるつもりなのだろう……この生殺しで。



 ― 自業自得とはいえ、心底から後悔した。





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