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月夜のヴィーナス
【SM 官能小説】

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月夜のヴィーナス-4

 静香は7時には竜次の部屋に来た。竜次はパスタを作って静香をもてなした。竜次はエプロンをしてあの怖い目の竜次から誠実で優しい竜次に戻っていた。
「竜次さんって料理上手いのね」
「一人暮らしておりますので」
竜次は照れくさそうに笑った。
「静香さん。その白いワンピースとっても似合ってます」
「ありがとう」
静香の服装に関心がない夫とは違って竜次は褒めてくれた。その些細な出来事も静香には嬉しかった。こんな優しい竜次に抱かれたいと思った。さっきのような荒々しい竜次は好きになれなかった。
「犬山さん、本当はノーブラで来ようかと思ったの」
「だめですよ。淑女がノーブラなんて」
竜次はまた笑った。優しい笑顔だな。夫の誠はカマキリ顔でいつも怖い顔をしている。うんざりしていた。
「もうワインはいいですか?」
「ええ。今夜は酔いたくないの。しっかりと今夜のこと頭に焼き付けたいの」

8時21分。静香の夫誠は帰宅した。すると竜次の目付きが変わった。いきなり静香を抱きしめキスをしたのだ。さらに胸を触り何度も揉んだ。
「ダメよ」
「大声出したら聞こえるぞ」
もう優しい竜次はどこにもいなかった。荒々しい竜次しかいなかった。竜次はわざと隣りの部屋との壁に静香を押し付けた。
「隣りに旦那がいるぞ。ふふ」
竜次は小声でしかもニヤニヤしながら静香の耳元で囁いた。静香は息が荒くなっても声を出すのを必死に我慢した。そのうち竜次の部屋のベルが鳴った。
「え?誰だ?いいとこなのに。まさかあんたの夫か?」
「違う。それは絶対違う」
「じゃ誰だ?いいとこなのに」
竜次はお預けくって不機嫌になった。
「声出すなよ」
そう言って竜次は玄関に行った。
「誰?」
「先生、俺ですよ」
「権藤か?」
「はい。権藤で〜す。題材持ってきました」
竜次は玄関を開けた。権藤と横に金子モニカが立っている。
「こんばんは」
二人ともにやにやしながら挨拶した。
「こんばんは」
権藤は日焼けして黒々としていた。モニカは写真でしか見たことなかったが、写真で見たイメージよりもっと怖い感じがした。
「先生、今いいですか?」
「ダメだ。今夜は仕事がある」
「仕事?新作書いてるんですか?」
「え?新作?そうだよ。せっかく原稿がすべりだしたのに、水差さないでくれよ」
「そうか。じゃ帰ろうか」
権藤とモニカは顔を見合わせた。ところがモニカが玄関で女物の靴を見つけてしまったのだ。
「これは?女の人来てるんですか?」
「いやいや。これは私のだ」
「先生、そんな趣味あるんですか?」
「違うよ。新作にこの靴が必要なんだ」
モニカが部屋の中を覗こうとしているのを竜次は必死に体を左右にして隠した。権藤とモニカは目を合わせると息を合わせて部屋に飛び込んだ。竜次は二人が同時に突撃してきたので防ぎようがなかった。そして二人は静香を見つけた。
「この人は?」
モニカが指差して言うと静香は怯えていた。竜次は慌てて静香を抱き寄せた。
「こんな女いいじゃん」
モニカは静香に興味を持ったみたいだ。権藤も気に入ったという顔をしている。
「君たち帰りなさいよ。ここは私に仕事場だぞ。それに書くためにこの人に来てもらっているんだ。さあ帰ってくれ。仕事の邪魔だ」
そんな竜次の言うことを権藤もモニカも全く耳に入ってなかった。そして権藤は
「先生、遅れてる給料の一部この女で払ってもらいます」
「給料?」
竜次は仕方なく静香を渡した。
「犬山さん、私やだ。こんなの嫌よ」
静香は権藤とモニカの獲物となってしまった。


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