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キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい
【ファンタジー 官能小説】

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○○は、ごはんに入りますか?-3

 そういうと、それまで黙っていたクロッカスが、いきなり噴出した。

「おいおい、そこまで念押ししなくても良いさ。おじさんだって、そこそこ長生きして経験積んでるんだぜ? ラクシュをヤバイと思ったら、とっくに逃げてるよ」

 陽気な笑い声に、立ち込めはじめていた薄い緊張が解ける。

「ん」

 ラクシュが頷くのと同時に、アーウェンも一気に脱力した。

「……はぁ、そうですね」

 そして六本が白くなった九尾へ、チラリと視線を向ける。
 クロッカスの正確な歳はしらないが、九尾猫の寿命は長く、生にしぶとい。九つの命をもち、一つの命を失い復活するたびに、尾が一本ずつ白くなるのだ。
 つまり、彼はもう六度は死んでいることになる。
 今は小さいながらも繁盛している店で、平穏な店主をやっているが、この国に来る前は、それなりの修羅場を重ねてきたんじゃないかと思う。
 クロッカスはミルクティーを飲み干し、縦長の瞳孔をもつ眼を細めた。

「なんにせよ、ラクシュの魔道具を欲しがる客は大勢いて、俺はラクシュを気に入ってる。アーウェンの茶も美味い。これからもお前等と付き合う理由は、それで十分すぎるだろ」

 そう言った時のように、人並み以上に魅力的な顔もできるクセに、ネコ耳おっさんは次の瞬間、とりわけゲス顔でニヤつきはじめた。

「おまけにアーウェンは、大好きな相手に脱童貞できて、万事メデタシってとこか」

「な……な、っ!! なんでそこまで知ってるんですか!!!!!」

 あっけらかんと露骨な事実を指摘され、顔を真っ赤にしてアーウェンは飛び上がる。

「ん」

 ラクシュはといえば、実に平然と頷いていた。
 一人動揺しまくっているアーウェンを、クロッカスがニヤニヤと見上げる。

「吸血鬼が飲む時っていやぁ、当然そうなるだろ。アーウェンのラクシュ好きは、病気レベルだしな」

「そ、そうですけど……っ!!」

 アーウェンが頭を抱え、あたふたとしていると、ラクシュが小首をかしげた。

「アーウェン……病気で、私を、好きになった?」

 赤い胡乱な瞳の奥に、少し心配そうな色が揺れている。

「は!? いや、そうじゃありません! 俺がラクシュさんを、ものすごく好きってだけで……クロッカスさん! 変なこと言わないでください!」

「あー、悪い悪い、ラクシュ。病気ってのは、単なる喩えだよ」

 クロッカスが苦笑して、椅子から立ち上がる。そしてふと、ラクシュを眺めて頭をかいた。

「……しっかしまぁ、変わり者とは思ってたが、難儀な体質だな。せめてサキュバスみてえに無害で補給できりゃ、もっと生きやすいだろうに」

「クロッカスさん!」

 思わずアーウェンは瞳に虹彩を浮かせ、牙を剥く。
 クロッカスが軽く床を蹴り、音も立てずに距離をとった。

「そう怒らないでくれ。おじさんはな、ラクシュがお前に、十年も打ち明けられなかった気持ちが、ちっとは解るってだけさ」

 相変わらず人を喰ったニヤけ顔で、クロッカスはヒラヒラと手を振る。

「アーウェン。お前は、俺よりも激レア品だよ。ラクシュは幸運だったな。……それじゃまた、店で待ってるぜ」




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