投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい
【ファンタジー 官能小説】

キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたいの最初へ キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい 24 キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい 26 キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたいの最後へ

ゴハンですよ-2

 アーウェンのエプロンを握りしめ、俯いて無言で肩を震わせていると、頭上から穏やかな声が聞えた。

「……もしかして、血が必要ですか?」

「っ!」

 弾かれたように顔をあげ、工房に逃げ込もうとしたけれど、素早く強い人狼の腕に掴まった。

「やっぱり。十年も食べてなかったら、またすぐにお腹すくだろうなぁと思ってました」

 アーウェンがにこやかに笑う。

「ぁ……っ……ぇ……ん……っ! きみ、を……」

 目の奥が熱くなり、両眼から涙がボロボロ溢れてきた。

 ―― きみを、信じてるのに……どうしても、怖くて言えないんだ……。

 大きな手にそっと頭を抑えられて、エプロンの胸元に顔がくっついた。

「それに、ラクシュさんはきっと、また言い出せないんじゃないかなぁって、思ってました」

「っ!?」

「……俺、最初の飼い主の夢を、今でも時々見るんです」

 頭を押えられて顔を上げられないまま、アーウェンの静かな声を聞く。

「もう十年……俺の人生は、ラクシュさんと過ごした方が長くなったし、どうせ過去の夢を見るなら、楽しい部分を見たいんですけど……」

 アーウェンは少し言葉を切り、それから溜め息とともに続きを吐き出した。

「嫌な記憶ほど、しっかりこびりついて、消えてくれないんですね」

「……」

 ようやく手が離されて上を向くと、キラキラ眩しい人狼青年の笑みが視界いっぱいに写った。

「だから、無理して言わなくても良いですよ。ラクシュさんが言えなくても、こうやって俺が気づいてみせます」

「……アーウェン」

 ようやく、彼の名前を呼べた。

「はい、ラクシュさん」

 牙の伸びた口を開くと、アーウェンがシャツのボタンを外して、少し身を屈める。
 逞しい生命力に富んだ首筋から、頭がクラクラするほどいい匂いがする。
 もう前に飲んだ傷跡は、しっかり塞がっていた。

 キラキラな光を周囲に散らした人狼青年が、嬉しそうに言う。

「ゴハンですよ」

 終
 


キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたいの最初へ キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい 24 キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい 26 キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたいの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前