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キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい
【ファンタジー 官能小説】

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全裸、ダメ、絶対-2

***

 そして……。
『恋人らしい』外出を終えて、家に帰ったラクシュは、非常にご満悦だった。
 帰る道筋で、アーウェンはいつものキラキラが薄れるくらい悲しそうだったから、失敗かと思ったが、今はとても喜んでくれている。
 ラクシュの髪につけた飾りも気に入ったらしく、ぎゅうぎゅう抱きしめる彼の周囲には、あのキラキラがすごく増えていて、直視できないほどだ。

「ん」

 玄関で抱きしめられたまま、ラクシュは深く頷く。とてもいい仕事を終えた気分だ。
 キラキラがまぶしくて視線を下に向けると、アーウェンから狼の尻尾が出ていて、歓喜を示しブンブンと振れていた。

「あ」

 ゴクリ、と喉がなる。
 ラクシュはこの尻尾がすごく好きだ。触るとすごく気持ちいいし、正直だから。
 吸血鬼にも、この素直な尻尾があれば、本当はラクシュを好きじゃなかったと、もっと早くわかったのに。
 しかし、アーウェンは尻尾を撫でられるのも、あまり好きではないらしく、ラクシュが撫でると困った顔をしてすぐ引っ込めるから、もう何年も触っていない。

 できれば、あのモフモフ尻尾を抱きしめてほお擦りしたいが、嫌がるだろうなぁ……。
 残念だと、じっと尻尾を見つめていたら、不意にアーウェンが耳元で囁いた。

「俺の尻尾、触りたいですか?」

「…………ん」

 一瞬ためらったが、ラクシュは小さく頷く。

「でも、きみは、尻尾触られる、嫌い……」

 くくっと、低い笑い声が聞こえた。

「嫌いじゃないですよ。ただ、触られると、ラクシュさんを抱きたくなるから、困ってたんです」

「あ」

 そういえば、人狼の尻尾は性感帯だったと思いだした。

「触ります?」

 そそのかすように、囁かれる。

「……いい?」

「はい。でも、我慢できなくなったら、抱かせてくれますか?」

「ん」

 頷くと、ひょいと横抱きにされて、アーウェンの寝室に連れていかれた。日当たりの良いこの部屋に、ラクシュは数えるほどしか入ったことがない。
 けれど今日は曇りだし、あと数時間で夜になる。
 アーウェンはラクシュをベッドに下ろし、念のためにとカーテンをしっかり閉めたあと、ベッドに腰を降ろす。オリーブ色の尻尾が、シーツの上でパサパサ揺れていた。

「ん……」

 スリッパを脱いでベッドに横たわり、尻尾を抱きしめると、やっぱりとても気持ちいい。眼を瞑って頬をすりつけたら、ビクンと跳ねて逃げそうになった。

「っ!」

 アーウェンが短く息を飲んだのが聞こえた。
 発情しているらしく、彼からいい匂いが強くする。けれどラクシュの血飢えは満たされているから、今日は噛んでしまう心配はない。

 ―― すごく気持ちいいなぁ。

 パサパサ跳ねる尻尾を、身体を丸めてしっかり捕まえる。

「ん……」

 横たわってジタバタしていたので、ローブの袖や裾が、もうずいぶんと捲れてしまっている。
 腕や太ももに少しだけ触れる尻尾が、ものすごく気持ちいい。
 心地いい感触と、大すきなアーウェンの体温にうっとりし、できればローブを脱いで全身で堪能したい……という欲求が競りあがってきた。
 チラっとアーウェンを見上げると、口元を手で覆い、瞳へすでに虹彩を宿している。

「アーウェン……ちょっとだけ……お願い……」

 我慢できずに上体を起こし、囁きかけた。

「っは……なんですか……? 俺、もう……早く、ラクシュさんを抱きたくて……」



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