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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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2.幸運は勇者以外にも味方する-4

「おめでとう。お祝いしなくっちゃな」
 合格すると珍しく兄が声をかけてきた。兄にとっても弟は悩みの種だったろう。この先、各方面の有力者たちと知遇を得ていく中で、弟がいつまでも無職では困る、という意味で喜んでいるというのは、よく分かっていた。
 兄は合格祝いと称して、村本を旅行に誘った。気が進まなかったが、はっきり断ることもできず、村本は兄と二人きりで熱海の温泉旅館に行った。
 夜、夕食の場に突然コンパニオンとして若くて派手な女たちが雪崩れ込んできた。
「お前、童貞だろ? ……男ってのはな、女を抱くと自信がつくもんだぜ? どの子がいいんだ? 譲ってやるからよ」
 兄の言いぶりには明らかに「施しを与える」側の立場で、自分のことを馬鹿にしている節があった。村本はまだ童貞だったから、兄の指摘は間違いではなかったが、これまで全く接したことがない若い女に囲まれてどうしていいかわからずにいた。
「……よぉし、じゃ、みんな」
 兄はコンパニオンたちに向かって札束をちらつかせながら、「今日は、お祝いなんだ。俺の弟を思いっきり楽しませてやってくれ。頑張ってくれた子には弾むから」
 きゃあきゃあ言って、コンパニオンたちが村本に抱きつき、覆いかぶさってきた。それからのことはよく憶えていない。コンパニオンたちの手に押さえつけられて畳の上に寝かされる。トップレスになった彼女たちが顔の前に差し出した、誰のものかもわからない乳房を吸わされて、何本もの手で男茎をしごかれた。何回射精してしまったかはわからない。酒を飲んで寝込んでしまった兄は、朝起きるとまだ弟がコンパニオンの一人に後ろから腰を振ってるのを見ると、
「おまえ……、すげぇな」
 と苦笑いし、徹夜で相手したコンパニオンを労い、多くの札を渡していた。
 この経験を経て、村本に女を相手にする度量がついたかというと、そうではなかった。むしろ金を払うことで女とセックスができるならば、敢えて恋人を見つける気にはなれなかった。もともと学生の頃からアニメやマンガに傾倒し、思春期を超えてからは、さらにグラビアアイドルがそれに加わった。アニメやグラビアアイドルの子はテレビや雑誌の向こうにいて、こちら側からそれをどう扱おうが、どんな淫猥な妄想の対象にしようが文句を言ってくることはない。そんな身の回りには絶対いない女の子たちを性欲の対象にしてしまうと、風俗に行って生身の一般の女の子を相手にしても、毎日のようにしている自慰の延長くらいにしか思わなかった。風俗店でも股間を弄ってもらいながらも、体に与えられる刺激を頭の中でアニメやグラビアアイドルの女の子に転化するように、目を閉じることが多かった。
「相良敏夫。46歳……」
 部屋の主の名前と年齢をひとりごちながら、村本は荒れ果てた部屋を見回した。そこら中にグラビアアイドルの写真集が散らばっている、しかも幼児体型で無垢な顔をしたロリータ系のグラビアアイドルが殆どだった。
(馬鹿にすんなって)
 若い警官が、オタクだからこんな部屋でも平気なのだ。と思っていることに気づいていた。他人に良く思われたことなど一度もなかったから、周囲が自分をどう思っているかには敏感で、素振りなどから心の中が手にとるように分かるのだ。
 しかし、この部屋の主と自分は違う。自分は相良と同じような変態ロリコン趣味ではないのだ。オタク男特有の選別意識を感じながら、部屋に歩を進めていく。


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