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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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1.過去は消えない-1

1.過去は消えない



「──瀬尾ちゃん」
 声をかけてきたのはクラスでも「悪ギャル」として通っており、それを大して隠そうともしていない同級生だった。梨乃は中学生ながら、髪をほぼ金髪に染め、つけ睫毛に厚めの化粧、大きめのカーディガンの袖に手を埋めて、スカートもギリギリまで丈を詰めている。転校してきて間もない悠花と特別仲が良いわけではなかったが、何度かは話したことはあった。
「あ、うん、何?」
「今日さぁ、学校終わった後ヒマかなぁ」
 悠花の前の席に横がけに座ると、片足のローファーの踵を椅子の縁に引っ掛けるように膝を立てる。すると更にスカートが捲れて太ももが露わになった。その太い脚が必要以上に強調されてしまうのだが、本人は気にしていないのか、それとも太いということに気づいていないのか……、そんなことを思いながらも、さすがに指摘するようなことはしなかった。
「ん、まあ……、何もないけど」
「じゃ、さぁ……ちょ、見んじゃねえよ! キモいし!」下着が見えてしまうような格好を自分でしておきながら、チラッと見てきた気弱でイジメを受けている男子生徒を一喝してから、「んっとね、ちょっと付き合って欲しいところあるんだ」
「いいけど……、どこいくの?」
 梨乃と遊びにいったことは一度もない。いつも梨乃は別のクラスの同じようなギャルの子とツルんでいた。
「今日約束あんだけど、友達みんな用あってさぁ。女の子二人で行くことになってるんだけど、お願いっ! 瀬尾ちゃん、助けて」
 そう言って梨乃は片手を立てて拝んだ。
「あー……、うん。でも、約束って何?」
「うん、まぁ、超楽しいとこだよ。追いてくれば大丈夫だし。……んじゃ、学校終わったら即ダッシュね!」
「え……、だから──」
 タイミング悪くチャイムが鳴って次の授業の教師が入ってきた。すぐに着席しないと怒鳴ってくる教師であったから、梨乃も前の席を立ってしまった。
 行き先を聞き出せないまま、その後の授業中に色々予想してみる。考えを巡らせていくうち、梨乃の言った「女の子二人で約束」ということから、どこかの男との合コンとかではないかと思えてきた。梨乃が合コンの約束するような相手は、恐らくチャラ男とかギャル男と言われるような、悠花にしてみればあまりカッコいいとは思えないような相手だろう。悠花もカナダでは男の子と遊んだり、デートしたことはある。誰にも言っていないが、一年程前に現地の高校生と付き合い、彼と性体験を遂げていた。周囲もそれぐらいの年齢になれば、性関係前提の男女交際は当たり前であったし、好き合って交際している以上、普通のこととして起こりうることであると誰もが思っていた。悠花も特別後悔はしていない。
 日本に来てみると、梨乃のような遊んでいそうなギャルがいる一方で、大勢としては男女交際についてはカナダに比べあまり活発ではないことに驚いた。
「これからどこに行くの?」
 終業してすぐ、梨乃とともに学校を出た。地下鉄の中で尋ねてみる。
「んー、まぁ、行けば分かるって」
 脚を広げ気味に座って、周囲の目もお構いなしにマニキュア臭を漂わせてネイルを整えて上の空だった。
「んっとね、梨乃ちゃん」
「んー……?」
「これから、男の子とかと会ったりする?」
「……んー、まー、会うかもねー……」
「梨乃ちゃん、あのね……。知らない子とかと会うのとか、ちょっとコワかったりするんだけど。うまく話せないかもだし、場がつまんなくなったりとかするかもって思ったりして」


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