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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道2-6

手を繋いだりしたことはあっても、握手を求められることなんて初めてだったから、少し戸惑って塁の顔を見上げた。


でも彼は存外スッキリした顔になっていて、さっきまでの久留米さんに敵意剥き出しの様子なんて影も形もなくなっていた。


驚いて久留米さんの方を見ると、彼もまたプカプカ煙草の煙を燻らせながら


「そういうこと」


と笑って頷くだけ。


何がどうしてこんな展開になったのか、未だに理解不能で、あたしは眉をひそめながらも塁の手を取った。


「つーわけだから、これからは友達として仲良くやろうぜ、お二人さん」


あたしの手をグッと握った彼は、勢いよくそれをブンブン上下に動かしてイタズラっぽく笑う。


「どういうわけでこうなんのよ」


「まあ、それは男同士の秘密だ。なあ、久留米くん」


塁がそう言って久留米さんにアイコンタクトを送る。


この雰囲気から察するに、さっき聞こえてきた久留米さんの声は、怒声とかじゃなくて笑い声だったのか。


ホッと胸を撫で下ろす半面、相変わらずあたしを見る二人のニヤケ顔が気になって仕方ない。







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