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アンタレスへの帰還
【SF 官能小説】

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アンタレスへの帰還-2

4.
 イサオの腕枕で、しきりと涙に咽ぶビアトレス。
 ビアトレスの妊娠が確認されて、イサオは結婚を決意し、求婚した。
 「ビアトレス、君は何故泣いているんだ。 君は何時も笑顔を絶やしたことが無い。、泣いた顔など、見たことが無い。 僕と結婚するのがそんなに嫌なのか?」
 「イサオ、ごめんなさい。私は、イサオとお別れしなければならないの。こんなことを言うと笑うかも知れないけれど、私は地球人ではないのよ。
 私は、アンタレスという星から、派遣された調査員。
 七月の始めに、銀河に貿易磁気が流れると、私はアンタレスに帰らなければならないの」
 「一寸SFの読みすぎじゃないのかい。どう見たって君は完全な地球人。その証拠に、君は僕の子供を宿したじゃないか」
 「それも私の任務のひとつ。地球人の子供を身篭ったら、アンタレスに帰らなければなりません。 アンタレスで出産して、子供が乳離れしたら、又地球に来られるかも知れないけれど、それは何時になるのか・・・。
 私は、本当にイサオを愛しているわ。任務だけで子供を作ったわけじゃないのよ。あなたを愛して、二人の愛の結晶として、この子を授かったのよ。 そのことは信じてください。 お別れしてアンタレスに帰らなければならなくなって、死ぬほど辛いの。 許してください。」
 「若し、僕も一緒に行くって言ったら、どうなる」
 「えっ、本当にいいの?」
 「どうせ地球じゃもうやることもないし、君とアンタレスで暮らすのも悪くないな」
 「それは大歓迎よ。アンタレスの政府も、始めは地球人拉致を考えたようだけれど、地球で北朝鮮の拉致事件が問題になっているので、トラブルを避けるためにやめたのよ。 あなたが来てくれるなら、こんな嬉しいことはないわ」
 「それで、出発は何日ごろなんだい」
 「七月七日は七夕様でしょう。一年に一度、この時期に、銀河に貿易磁気が流れて、テレポートが可能になるのよ。 天の川は宇宙間の主要交通路なの。 二人乗りのクルーザーで、アンタレスに旅立つって言うのはどうかしら。
 「地球人も元をただせばアンタレスから来たのなら、行くというより、故郷に帰る、アンタレスへの帰還という訳だ」
 「それにしても、イサオ。 こんな眉唾な都合のいい話に、よくも簡単に乗れるものね」
 「そりゃそうだよ。 だってこのストーリーは僕が書いたんだから」
おわり


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