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さくら、さくら。
【大人 恋愛小説】

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僕らは知り合う-1


公園に戻り、小島は買った毛布を二枚、ブルーシートに敷いて、一枚を自分の肩に掛けて暖をとり座った。

そんな気まずさから逃れようと少し離れた場所に座ろう僕に、 無言で一枚毛布を投げてきた。

「あ、ありがとうございます…」
乱雑だけど、思いがけない気遣いを受けて、戸惑い混じりに小島に礼を言うと、

「…こんなだだっ広い場所に離れて座ったら、寒いじゃん …」

僕に膨れっ面を向けて「バーカ…」と呟き、缶チューハイを差し出してきた。

「えーと…、と、隣に座っても良いって事か…な?」
恐る恐る尋ねると、

「毛布二枚並べて敷いてる時点で察しろよ…」

小島は、「バーカ…鈍感…」と毒づいて、さっさと来いといわんばかりにチューハイを持つ手を更に僕に伸ばした。

「お、お邪魔します…」
会釈して受け取り、横目でちらりと小島を伺い見ると、 手にした缶ビールのプルトップをカシャリと起こして、無言で勢いよく飲みだした。

アルコールがあまり得意ではない僕だけど、 (これ、甘くて飲みやすいな…)乳酸菌飲料ベースの甘くて優しい口当たりのチューハイを、ちびちびとゆっくり喉に流し入れたら、体の中がぽかぽかと温まり小さな安堵の息が漏れた。

また小島が静かになった。 居心地の悪い沈黙に、またもやもやもやする胸。

…何を話したらいいんだ。 会話の糸口が見つけられず、膨れっ面でビールを煽る小島をちらりと伺い見る事しか出来ない。

そんな情けない自分に再度ため息が出そうになるのを堪えてチューハイを喉に流していると、小島は買い物袋をガサガサと漁り、スナック菓子を取りだし開けて、

「お酒…、あまり得意じゃないんでしょ? 悪酔いしないように食べながら飲んだら?」
そう言いながら僕の取りやすい場所に置いてくれた。

「あ…これ…」
僕の好きなお菓子だ。そう思って小島に視線を向けけると、僕が何を思ったか察したのか、

「やっぱりね。こういうの好きそうだと思った」
小島はニヤリと笑い、

「お子様味覚だもんね」
と鼻を鳴 らして呟いた。

「お、お子様味覚で悪かったな…」

あからさまにからかわれたと理解して、迂闊にも僕は拗ねた態度で菓子をほおばった。そんな僕を見て、くすくすと笑い出す小島を見て、気恥ず かしさが込み上げたが、心の中で酷く安堵してる自分に驚 いてもみたり。

…なんだか今日は感情の忙しない日だな。


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