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氷炎の魔女・若き日の憂鬱
【ファンタジー 官能小説】

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氷炎の魔女と黒狼の旅記録-3

***

 ――夜空に浮かぶ細い月を背に、ロルフは開いている窓から、こっそりと宿に侵入した。
 なにしろ狼の姿では、たいていの宿は部屋に入れてくれない。だから毎晩、こうやってシャルロッティが目印をつけた窓から忍び込むのだ。
 しかし、ここは北国の故郷からもう近く、こんな真冬の夜に窓を開けている部屋は、他になかった。

 ロルフは足音一つたてずに、窓から床へ四足で着地する。
 部屋は魔法で暖かく保たれ、シャルロッティは床に広げた布の前に座り込んで、魔法灯火の下に光る品々を眺めていた。

 どんな呪いも解ける古代魔法レシピの薬をつくるために、シャルとロルフが一年近くもかけて世界中を巡り、必死で集めた材料だった。

 魔方陣で育った宝玉の枝、絶滅した火ネズミの毛皮、水晶燕の宝貝、ドラゴンの顎にできる珠……そして薬を精製するための、精霊の鉢だ。

「やっと全部揃ったわ。フロッケンベルクに帰ったら、すぐ薬を作るわね」

 微笑む氷炎の魔女の頬へ、ロルフは尖った鼻先をすりつけた。
 ロルフが人の姿をとれなくなってから、もう一年近くになる。
 長くなるので詳細は省くが、そもそもはシャルを嫁に貰いたいと、彼女の父親ヘルマンに言ったことから始まった。

 そして勃発したシャルロッティvsヘルマンの壮絶な魔法合戦(親子喧嘩)の巻き添えを喰らい、狼化していたロルフは人の姿になれなくなってしまったのだ。

 これに関してロルフは、自分の母ラヴィも、少なからず関係していると思う。
『凶星の娘』と、生まれた時にお告げを受けた母の周囲では、昔から信じられないような、不幸と幸運が入り混じる。

 ……実際に今回も、何も知らずにただ扉をノックしただけで、積み木崩しのような偶然が重なり、シャルとヘルマンの魔法があちこちに反射したり魔法薬と混ざったあげく、この結果を引き起こしたのだから。

 しかし、不老不死のくせに 『シャルと結婚する男なら、僕の屍を越えるくらいの根性を見せてください』 などと無茶振りをしていたヘルマンが、 『ロルフが元に戻れたら許可します』 まで妥協してくれたのだから、結果としては良かったのかもしれない。

 ……あの魔人を倒すのは、間違いなく不可能だった。


(俺はもともと人狼だから、この姿も嫌いじゃないけど……シャルを早く抱きしめたい)

 声を発せられないから、ロルフは喉を鳴らしてシャルの白銀の髪に鼻先を埋める。さらさらした心地よい感触と大好きなシャルの香りに、喉がいっそう大きく鳴った。
 桜色の可愛らしい唇を舐めると、シャルは小さな声と甘い吐息を漏らす。

「ん……まって、片付けるから……」

 じれったかったが、シャルが材料を丁寧に片付けるのを大人しく待ち、襟首を咥えて寝台にひっぱりあげた。
 ロルフも静かに上がり、黒い毛皮に覆われた前足で、夜着の上からツンと尖った胸の突起を軽く擦る。

「あ、あ……」

 二色の瞳がたちまち潤む。頬を染めて身を捩り、もっとして欲しいと訴えるように、薄い胸を突き出して擦り付けてきた。
 ド淫乱な身体だと自分で嘆くシャルは、とても快楽に弱く感じやすい。もじつかせている腰の辺りから、すぐに発情の香りが濃く漂いだす。
 夜着の帯紐を口で解き、そこかしこに舌を這わせていく。はだけた夜着をまとわりつかせたまま、シャルがひっきりなしに喘ぎ声を零し始めた。
 脚の間に顔をこじ入れ、とめどなく溢れている蜜を舐めとると、一際高い声があがる。
 防音魔法をかけていなければ、艶めいた声は外にまで響いてしまったことだろう。

「ロルフ、も……あ、あぁ……」

 しまいにシャルが、ロルフの首に両腕を回してすがりつき、堪えきれないというように訴える。
 ロルフの方も我慢の限界で、狼の下腹部からは真っ赤な刀身が顔を覗かせていた。
 うつ伏せになって腰を高く掲げたシャルを、後ろから貫いていく。
 人間の時だって体格差はあったが、狼化するとさらに大きくなるから、小柄なシャルを傷つけないように、ゆっくりと慎重に腰を進める。

「う、く、はぁっ……あ、んん……」

 シャルは真っ赤に上気した頬をシーツに押しつけて、喘ぎとも苦悶の呻きともつかない声を漏らしていた。
 両手をきつく握り、眉を寄せて涙を零していたが、内側は淫らにひくつき、ロルフを迎え入れる。
 すぐにでも吐精したくなるのを堪え、繋がったまま背筋や肩も舐めて愛撫を重ねる。




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