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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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メイ-16

あたしの家と、久留米さんの言っていたコンビニはかなりの距離がある。


外に出たことのない猫が果たしてそんな遠くまで行けるのだろうか?


「よく似た猫かなあって思ったんだけど、俺を見た瞬間に迷わず足にすりついてきたし、多分メイだろうなって思ってさ。

腹減ってたみたいだったから、とりあえずエサあげて、それから宗川さん家に届けようと思ってたんだ。

それで何度か電話したんだけど……」


そうか、あたしが電話を持ち歩かなかったから、久留米さんはわざわざ車でここまで来てくれたんだ。


久留米さんの、上下グレーのスウェットという完全なる寝る前の姿が、なんだかとても嬉しかった。


散々避けていても、困った時には手を差しのべてくれる、これがあたしが好きになった男なんだ。


「メイ、あんた久留米さんに会いたかったの?」


彼女の頭をそっと撫でてあげると小さな声で“ニャー”と鳴いた。


ホント、不思議な猫。


涙が大分落ち着いた所で、愛猫を見れば沸々と笑顔がこぼれてくる。


単なる偶然にしても、なんでそこまで行ったのかはメイにしかわからない。


でもメイが、久留米さんとお話するきっかけを与えてくれたのは事実である。


「メイ、ありがとう……」


あたしは久留米さんに聞こえないように彼女の耳元で小さくお礼を言った。




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