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恋心あれば水心
【女性向け 官能小説】

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「良いところって・・・お店じゃないじゃん」
「お店なんて俺言ったっけ?」

しらっと答えるその様に背中を押されて渋々入る。
初めて来た山田さんのマンションは
とても綺麗。というより
生活感が全くなかった。

「ね。ここに住んでるんだよね?」

余りに奇麗な台所と余りに奇麗なリビングに疑いの目を向ける。

「そうだよ。なんで?」
「生活感がない」

「あぁ。俺、ここには寝に帰るだけだからな。
毎日残業で午前様だし。土曜日もほとんど仕事だし。
朝も夜も外で食べるし。だからかな」

そっか。経営管理って私たちよりかなり忙しいんだ。

「寝室は生活感あるけど見る?」

ネクタイを外しながらニヤッと聞いて来る。

「結構です」

27歳になったらそれぐらいじゃ恥ずかしくないっつーの。

私服に着替えた山田さんと乾杯と飲み直す。
あ、良いお酒だ。美味しい。
会社の面白い話や上司の笑える話を巧みに話してくれて
さっきのお店でのいやな感じが薄れてきた。

「希望ちゃんさ。気付いてるかな?」
「何を?」
「俺、お酒飲んでるんだけど」
「知ってるけど?」

「送っていけないよ?」
「うん。そこまでずうずうしくないよ。自分で帰ります」
「金曜日だし泊って行ってもいいけど?」
「遠慮します」
「俺は泊ってほしいと思ってる。お酒が入ったから送れない。
あとは希望ちゃん次第だよ」

そんな風に真面目に切り返してくる。

じっと見つめる視線に恥ずかしくなって
急に話題を変えてみる。





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