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君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

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好き、だけど・・-11

ゆっくりと、水槽に泳ぐ魚を観賞して貰う為、館内の照明は普段から下ろされ、客が観賞
を楽しめる必要最低限のライトが照らされる水族館。俺ら以外の客は親子連れに若いカップルでほんの4人くらいだ、俺は特にイベント情報とかは目に通さない方で、思いつきで言った物だからこの日は普通に目立ったイベントなども無く、ゆったりと今日も時の流れ行くまま優雅に、水槽を泳ぐ観賞魚達。

「うわぁー綺麗な鱗ー、美味しそう・・」

出たよ、こんな言葉を聞くと、此間の楽しかった縁日を思い出す。

それから案の定、俺たちは館内を観回った、俺はゆっくり観たいのに、彼女の歩くスペースはとても早く。彼女は水槽で泳ぐ魚を目にする度、「おーい!気持ち良いかぃ?」とか
子供の様に声を掛けたり、魚の一生を説明するムービー室に入るやいなや映像観賞をしてる最中に突然「つまんなーい」っつって、退室したり。水族館なのに爬虫類の蛙が展示
され、俺がそれを覗いた途端、急に跳ねだし、そんな俺を見て陽気に笑う彼女・・。

こうしたやり取りをしていると、先ほどまで楓は冷たい人間だ・・、何て考えていた自分が馬鹿馬鹿しく思え、彼女の良い所が存分に発揮され、此間の縁日の様に思いっ切り楽しんだ。

・・しかし、売店のついた休憩室で。

「はぁ、結構歩き回ったね」
俺は楓に2時間以上は付いて回り、昨日の練習疲れが残ってる俺は、体にずっしり重りが
ついた様に、椅子に腰を落とす。疲れた、振り回されて・・。しかし彼女はそんな俺を
見るやいなや。

「あっはっはっはぁっ!どーしたの?オッサンみたいだよーっ!」

だるいパートナーを見て、出る言葉がコレか・・、そして俺に止めを刺す様に

「・・ねぇ、ジュース買って来てよ!、私もうー喉からっからぁーっ!」

もう限界だ

「ちょっと!何処いくねん!」

俺は彼女に愛想が尽き、何も告げずに彼女に背を向け、出口の扉に手を掛ける

「君はそれでも俺の恋人な訳?」

彼女に振り向く事も無く、扉に手を掛けたまま俺はついに溜まった想いを口にする。

「へっ?」

何を言ってるのか分からない、と言う感じだ。

「見て分からない?人がこんなに疲れてるのに、普通なら「大丈夫?」の一言とか」
「何よそれ、「大丈夫って聞かないの?」って、大の男が何心配して欲しいのよ」
「俺は!・・、別にそういう意味じゃ」
「ならすべこべ言ってないで早くお茶買って来てよ!」

・・どうやら彼女との仲はこれまでのようだ

「ちょ!シュガー?シュガー・・しゅう!待って」

「・・楓・・・・さようなら。」

「しゅうっ!」

慌てて引き止めようとする楓に、俺は振り向く事無く、雨が止むも今だ冷たい風が吹き込む外へ出て、濁った空を見上げ自宅へ帰宅する・・。

俺は、もう・・

楓とは付き合えない様だ・・・・


続く


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