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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第5章 教育-21

 破れた制服をまとった瀬里奈は、手と膝をついて犬のような四つん這いになり、深々と頭を下げている。プライドの高い瀬里奈がそんなことをするなんて、この眼で見ても信じられないが、現実は無情だった。九条は足の甲で瀬里奈の顔を持ち上げると、支配者然として見下ろす。
 「なかなかいい格好じゃないか。さぁ言ってみろ、お前は何だ?」
 「はい‥、私は直哉様にお仕えする奴隷です」
 「そうだ、それでお前の仕える主はどんな男だ?」
 「はい、直哉様はいずれ日本を、ひいては世界を率いるリーダーとなられるお方です」
 まるで質の悪いお芝居を見ているような気分だった。瀬里奈は覚えたばかりの台詞を思い出しながら喋る下手な役者のようなのに、どこかうっとりとした表情を浮かべている。九条はそんな彼女を薄笑いを浮かべて見下ろしていたが、突然顔を歪めると、こともあろうに瀬里奈の頭を踏みつけた。
 「その偉大な男に、お前は無礼を働いてくれたよなぁ」
 一転して乱暴な口調になると、九条は床に這った瀬里奈に怒鳴りつける。その豹変とも言うべき変わりように、驚いて言葉もない。こいつが学院で猫を被っているのには薄々気づいていたが、まさかここまで我儘でガキっぽいとは思ってもみなかった。
 「お‥、お仕えする以前の事とはいえ、申し訳ありません、どうかお許し下さい」
 九条は加減を知らない子供のように、謝罪する瀬里奈の顔を、床にぐいぐい押しつける。いつもの彼女なら、こんな屈辱を受けて黙っているはずもないのに、ひたすら身を小さくしたままでいる。
 「ふんっ、まぁお前の身体には色々と使い道があるからな。せいぜい役に立ってもらうぞ」
 ようやく足を離した九条は、乱暴に髪をつかんで瀬里奈を引き起こし、傍若無人な言葉を放つ。そして裸の肩を抱き寄せて、あたしの前まで連れてくる。
 「ところでここに転がってる女は、俺様の道を阻む邪魔者だ。こいつはお前の何だ?」
 「‥沙羅は、私の大切な‥、大切な友達です」
 どうやらその返事はお気に召さなかったらしく、九条はむっとした様な表情を浮かべるが、あたしは胸がじんと熱くなった。やっぱり瀬里奈は瀬里奈のままなんだ。
 「いいか、この外人女は計画の障害物だ。俺がこいつをどうしようと、文句はないな」
 「‥はい、‥それは、直哉様の‥お望みのままに」
 「聞いたか、お前の大切なお友達とやらは、お前のことを見捨てたぞ」
 絶望しかなかった胸に、沸々と煮えたぎるような怒りが沸いてくる。こいつは、このどうしようもなく我儘なガキには、心ってものがないの?
 「いい加減にしなさいよ、このクソ野郎、あんた人をなんだと思ってるのよ!」
 「それはお前も聞いただろう。こいつらは俺の奴隷。つまり何をしたって許されるんだよ」
 「ふざけんな、何が奴隷よ、この屑!」
 怒るかと思いきや、九条はおどけたように肩をすくめ、意地の悪そうな笑みを浮かべる。それが意味するところは、紫苑と瀬里奈の怒ったような顔が表していた。


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