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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第5章 教育-18

 昼間とは打って変わったぞんざいな口調だが、声の主が誰かは明らかだった。無駄かもしれないけど、気絶したふりを続けていると、いきなり髪の毛を掴まれ、乱暴に引き起こされる。
 「ふん、いいざまだな外人女。そうやって頭を下げてる姿がお似合いだぜ」
 「何すんのよ、放して!」
 今や鳳の生徒会長は、その本性を露わにしていた。日頃の真面目ぶった表情とは全然別の酷薄そうな笑みを浮かべ、蔑むような視線を向けてくる。普通なら恐怖を覚える状況なのに、胸の内に湧いてきたのは怒りだった。だって今こいつ、あたしを外人呼ばわりしたのよ!精一杯の憎しみを込めて睨み返すと、九条は口の端を歪め、おもむろに手を離す。麻酔にかかってるような感じで痛みはなかったけど、身動きとれないまま、したたか顎を打ち付けてしまう。ちくしょ〜、女の子の顔を何だと思ってるのよ、覚えてなさい!
 「ちょっとあんた、自分が何やってるかわかってるつもり?これ思いっきり犯罪よ!」
 幸い身体は動かなくても舌は回るようで、あたしは勢いのまま、一気にまくし立てる。
 「言っとくけどね、この場所のことは警察に通報してあるわ、あんたはもうおしまいよ!」
 痛罵の声をものともせず、九条は読書用のデスクから椅子を持ってくると、正面に据えて座り、無遠慮な視線を向けてくる。 
 ふんっ、そうやって余裕かましてなさいよ。映画に登場する悪の親玉みたいにしてるけどね、大概その手の悪党は主人公を甘く見て、ラストで驚いた顔浮かべてやられちゃうのよ。
 絶対的なピンチにもかかわらず、あたしは希望を捨てていなかった。今の動かない身体ではいかんともしがたいが、脱出のチャンスは必ず来る。って言うか、そうでも思わないと恐怖で心が潰れてしまいそう。だからどんな僅かな隙も逃さないつもりで、九条の様子に気を配った。
 彼は私服らしき濃紺のシャツに白いスラックス姿で、偉そうに足を組んで座っている。傲慢で横柄な雰囲気が滲み出てるのに、全然違和感を感じないのは、こちらが素の姿だからだろう。そして相変わらず感情の読みやすい目からは、この状況を楽しんでる様子が窺える。どうも警察云々の話は信じてないようで、緊張する素振りは全然なかった。
 「まったく、今日は面倒だったぞ、お前に見張られていたせいでなぁ」
 突然の予期してなかった言葉に、あたしは心臓をつかまれる思いだった。どういうこと、盗聴がばれてたの?動揺が顔に出てしまったようで、九条は含み笑いをこぼす。そしてあたしのハンディビデオに手を伸ばすと、撮影した動画を確認する。
 「お前が売春倶楽部に入ってくるのも筒抜けだったぞ。それで、どうだった。早紀の濡れ場を見て興奮したかぁ?」
 わざとらしい下品な言い方に、頭にカッと血が昇る。もし身体が動いて手足も自由なら、こんな奴ぶん殴ってやるのに。でも、それにもまして、今は焦りの気持ちでいっぱいだった。つまり今日一日監視していたのはバレバレだったってこと?そんなはずないわ、マイクもカメラも素人に見破られるような設置はしてないし、監視体制にも落ち度はなかったはず。じゃ、一体どうして‥
 「はったりよ、あんたがあたしの行動を知ってるわけないでしょ」


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