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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第5章 教育-11

 ‥あった。夏休みに行われた文化棟の改修工事だ。きっとその時、ここも改築したんだわ。そうなると請け負った工事会社はもちろんだけど、やはり学院関係者にも九条の共犯がいるようね。地上に戻ったら、工事の資料も調べなきゃ。でも、今はここの捜索を優先しよう。
 改めてホールを見渡すと、最初の印象通りホテルを思わせる作りである。階段はあくまで非常口らしく、エレベーターの降り口に絨毯が敷かれ、フロントとおぼしきカウンターまでつながっている。今は誰もいないが、カウンターの奥にもドアがあり、既に姿のないインテリ眼鏡はその奥にいるのだろうか。
 四本の通路の先にはそれぞれ部屋があるようで、ここが売春倶楽部であるのなら、お客をフロントで迎えて部屋に案内し、女の子とエッチってところかな。もしかして新城先輩もここで、と考えると胸が痛むが、今はその考えを締めだす。証拠さえ押さえれば、この地下の魔窟は二度と使われることがないはずよ。
 早速持ってきたハンディビデオで、ホールの中を撮影。でも問題はこの先。確実な証拠を抑えるには、ここで売春が行われているという決定的な一枚が欲しい。とは言え、さすがに部屋をノックして、写真撮らせてくださ〜い、なんて言うわけにはいかないし、いつまでもここにのんびり立ってて、誰かに見つかりでもしたら、それこそ洒落にならない。
 安全に身を隠せて、しかも部屋の中を覗ける場所。あたしは天井に目を向け、そのヒントを既に紫苑から貰っていることを思い出した。
 電源管理室はエレベーターの隣にあり、簡単に見つかった。こう言う制御室では各部屋の電気、冷暖房管理をするだけでなく、空調管理も行われているはず。天井を走る太いダクトを追いながら、電気工事に関する、昔読んだ本の内容を思い出す。こう言う地下施設において、換気ダクトは吸気と送気に分かれており、それぞれ送風機か換気扇が設置されているはずだわ。特に大型の施設であれば、換気ダクトもそれなりの大きさがあるわけで‥、と見つかった。お目当てのダクトの保守点検口を見つけ、梯子を上って中を覗いてみる。思った通り、這ってなら人が通れるくらいの大きさがある。
 あたしはハンディビデオとコンクリートマイク、それにスタンガンだけを身につけ、音が出ないよう靴も脱いで、残りの装備と一緒に隠しておく。そして念のため配電盤を調べ、ダクトの換気扇をオフにすると、天井裏を走る送気ダクトの中に潜り込んだ。
 ダクトの中を四つん這いで、音を立てずに移動するのは、思った以上に大変だった。しかも分岐点が多く、さながら迷路のように入り組んでるので、注意してないと入ってきた所すら分からなくなりそう。でも、どうにかこうにか前進を続けると、やがて明かりの洩れる換気口が見つかり、そこから話し声が聞こえてきた。細心の注意を払いながら穴の上まで進み、そっと中の様子を窺ってみる。
 思っていたよりずっと質素なリビングが、眼下には広がっていた。壁際にソファが並べられ、その前にローテーブルが置かれていると言う、まるでカラオケルームのような部屋。そう言えば大きさもそれくらいかな。てっきりラブホテルの様な部屋を想像していたんだけど、拍子抜けもいい所だわ。まぁ、入ったことないから詳しくはないんだけど、あたしが考えていたような、けばけばしい装飾とか、ガラス張りのシャワールームとか、大きなベッドもないばかりか、部屋には女の子の姿すらなかった。


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