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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第4章 会合-27

 麻薬の入手も、海外との医薬品取引が認可された九条コーポレーションなら不可能ではない。おそらく使われているのはヘロインのような中毒性の高いものではなく、被暗示性が強いLSDや、幻覚性の高いメスカリンのような種類と考えられる。麻薬の世界も日進月歩を続けているので、それこそ新種の麻薬が用いられているのかもしれない。そう言えば、確か最近中南米で出回っているパラダイス・チケットと言う麻薬が、極めて被暗示性の強いものだったと聞いている。これは調べてみる必要がありそうね。
 もしこの推測が当たっているとすれば、薫の豹変や前回生徒会長選で彼の支持者が多かったことも頷ける。もちろん裏付けとなる調査は必要だが、どの道九条直哉がこの一件に関与しているのは間違いないし、黒幕である可能性も高いと考えていいでしょう。
 だが、この仮説が正しいとすれば事態は深刻である。選挙の結果を見るに、彼の影響力は既に生徒の半数以上に及んでいる。
 ‥まるで癌細胞ね。
 まさに鳳学院に巣食う病魔の如く、気づかれぬうちに重要な臓器を蝕み、周りの正常な細胞を取り込みながら肥大し、発見された時には重症となっている。
 もっとも、それを今まで見過ごしていたのは、他ならぬ私の失態なのだ。ならば、その責任を私は負わねばならないでしょう。
 心の中に冷たい決意が染みわたるのを感じながら、これからすべきことに思案を巡らせる。
 この一連の犯行が九条直哉の手によるものなら、西園寺、綾小路家の関与は考え難い。ならば綾小路家の調査部に命じて、彼の身辺を徹底的に調査させれば、麻薬とは限らないかもしれないが、生徒を従わせている何かが必ず出てくるはず。加えて、医務室での入院経験者に、薬物使用の痕跡がないか検査を受けさせる必要もあるわね。容疑が固まれば彼の陰謀を明るみにさらし、徹底糾弾することになるでしょう。
 ただし鳳学院で売春や麻薬の類が蔓延っていたことが知れれば、学院の歴史に大きな傷を残すことになる。もちろん生徒会長を務めていた私の名誉もあったものではないが、その不名誉は甘んじて受けるとしましょう。
 問題は九条直哉がこちらの動きに感づいた場合である。彼が今まで手を出してこなかった理由はわからないが、調査を始めたと知れば必ずや妨害を、私を捕えて麻薬漬けにしようと試みるかもしれない。はたして彼の仲間が綾小路家を敵に回してまで従うかどうかは不明だが、窮鼠猫を噛む。追い詰められればどんな暴挙に出てくるか知れたものではない。それに、私より問題なのが報道部の彼女達。昼の一件で間違いなく九条直哉に目を付けられたでしょう。
 どうやら事態は一刻の猶予もないようね。九条直哉に気付かれるより前に、彼を学院から放逐できるだけの証拠を集めなければならない。綾小路家の調査能力なら、一両日もあれば事足りるでしょうけど、それまで我が身と、報道部の彼女達を危険に巻き込まないようにしなければ。それに彼女達をどうやって説得するかも問題ね。
 私はショックを隠せないままの橘沙羅に、なるべく穏やかな口調で話しかけた。


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