崩れていく関係-3
そこそこのレベルの男には大抵カノジョがいるもんだ。
ましてススムは、あたしをホテルに連れ込むまでの手順がかなり慣れていたし、エッチのテクからしても相当女慣れしてるはず。
だから最初から、ススムはカノジョがいると睨んでいた。
確信したのは、携帯を一切触らなかったから。
あたしと一緒にお茶している時に、テーブルの上で何度かスマホが震えているのを見たけれど、ススムはそれに手を伸ばそうとすらしなかったから。
カノジョの存在を隠していたのは、恐らくあたしを口説きやすくするためだったんだろうけど、携帯を一切触らない方が余計怪しいって知らないのかな。
でも、別にカノジョがいようがいまいが、あたしには関係ない。
気持ちよくしてくれるならそれでよかったし、陽介よりも相性が良かったら後腐れのない関係を始めるのも悪くないって思ってた。
でも、やっぱり無理。
陽介と久しぶりに会えてから、ずっと頭の中はアイツのことばかりで、振り切るように誰とセックスしても上の空になってしまう。
もう、陽介以外では身体は満たされても、心まで満たされることはない所まで来ていた。
「何で……、オレ……カノジョいるって言わなかったのに……」
動揺を見せたススムの隙をついて、彼の拘束から逃れたあたしは再びベッドから降りた。
「何となく女のカンってやつかな。でもやっぱりカノジョいたんだ、ショックだな」
ショックなんて微塵も受けてないけど、こう言えばセックスを拒む理由が正当化されるから。
だからあたしは目を伏せつつ、涙を堪えている振りをする。
すると、彼もまたベッドから飛び降りて、今度はあたしをギュッと抱き締めてきた。
「ごめん……黙ってて……」
太ももにあたるススムの脛毛のごわごわした感覚と、おへその辺りにあたっているペニスの感覚が気持ち悪くて舌打ちが出そうになる。
そんなフォローいらないっての。
「ううん、いいの。でもあたし、やっぱりカノジョがいる人とこういうことするのはよくないと思う。だから、ここで止めとこう？」
そう言ってススムの腕から逃れようとしたけれど、今度はキツく抱き締められてそれも叶わない。
……ホント、ウザいんですけど。