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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第3章 調査-13

 興奮した自分に気付いたのか、すまなさそうな声で紫苑がおずおずと言う。
 「ずっと考えていたのですが、これが売春のプロモ映像であるなら、当然‥その、女性を買う男の方がいるわけですよね。売春倶楽部なんて名乗っていますから、私最初は学院の男子生徒を相手にした娯楽の一種かと思っていましたの。でも、学内ならプロモ映像なんて必要ありませんし、新城先輩は自己紹介で鳳学院と名乗っています。もしかして売春そのものは学外で行われているのではないでしょうか」
 「う〜ん、そっか〜、でもそうなるとますます犯人が絞り込みにくいわね」
 「誰が黒幕にせよ、もう一つ大きな謎が残ってるよ。どうして新城先輩がビデオに出てたのかって謎がね」
 結局あたしたちは顔を見合せたまま、悩みこんでしまう。他のことはともかく、新城先輩の件だけはどう考えても説明がつかない。
 どういう経緯でビデオに出演したにせよ、腑に落ちないのは、先輩がそれを周りに悟られないよう振舞っていることだ。瀬里奈の話ではビデオへの出演をきっぱり否定したそうだから、常識的に考えれば、瀬里奈に見抜けないほどうまく嘘をついたことになる。でも、嘘の下手な人が急にうまくなるなんてあるだろうか。もしそうでないなら、売春を全くやましいことと思ってないか、さもなくば記憶から消えてるか。でもそれって‥
 「ねぇ‥、もしかして先輩って催眠術にかけられたんじゃないかな」
 「‥セァラ、先輩のことでは私、真剣に悩んでるんだけど」
 「あ〜、ひっど〜い、だって先輩、売春のことを覚えてないって言うか、記憶を消されてるみたいじゃない。そう考えれば辻褄が合うでしょ」
 「あのねぇ‥、じゃあその催眠術とやらは誰が掛けるの?」
 「それはわかんないけど‥」
 「仮にそんな奴がいたとして、記憶を消して自由に操れるんなら総理大臣でも操ったらどう?少なくとも私なら、女の子を操って売春なんてケチくさいことはしないね」
 それはごもっとも。確かに突拍子もない話だし、説明がつかないからと言って、安易な発想に逃げているだけかもしれない。でもあたしは今まで常識的な考えに捕われすぎていたのかもしれない。
 「でしたら、クローンはどうでしょう。売春をされているのが本人そっくりなクローンだとしたら‥」
 まるで名案を閃いたとばかりに紫苑は言うが、それが瀬里奈を怒らせてしまったようで、表情が険しくなってくる。
 「あんたらねぇ、SF映画の見過ぎだよ、そんなこと実際あるわけないでしょ!」
 「あら、それは誤解ですわ。魔法やファンタジーならいざ知らず、SFは科学技術が発達すれば起こり得る話だからこそ面白いのですわ」
 「全然面白くないよ!次は何?おかしな機械で洗脳されたとか、超能力で操られてるとか、まさか宇宙人に攫われたとか言いだすんじゃないでしょうね!」


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