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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第3章 調査-10

 「そうですか、でも本当にごめんなさいね、貴方が会長の頃なら、生徒会権限でお見せできたのですが‥」
 ドアのところまで見送りに来る先生は、最後まで不安げな表情を浮かべたままだった。
 廊下に出て、ドアが閉まる音を聞きながら、私は胸の内で呟く。
 そうね、生徒会権限があれば、もっと詳しいことが分かるわね。


 「瀬里奈、それ矛盾してるってわかってる?」
 「わかってるわよ、でもこれが結果なの。どれだけおかしくても!」
 放課後、報道部の会議は最初から大荒れだった。
 新城先輩と直談判に行った瀬里奈の報告は、正直あたしをがっかりさせた。先輩はビデオのことを本当に知らないみたいで、嘘もついてない。でもビデオに出てたのは、間違いなく先輩だって。まったく、支離滅裂もいいところだわ。
 もっとも、あたしの報告だって要領を得てるとは言い難い。インテリ眼鏡の言うことを信じるなら、ビデオは生徒会資料庫にあったもので、歴代生徒会いずれかの持ち物と思われるが、所有者を特定できる情報はなし。
 結局このビデオを撮ったのが誰かも、新城先輩が売春にどう関ってるかも不明なままで、何も分からずじまいである。そんな中、唯一成果があったのは、映像を徹底的に調べていた紫苑からの報告だった。
 「まず、かなり入念に調べましたが、この映像からアイコラなど、いわゆる画像合成の痕跡は見つかりませんでした」
 最初の報告はあたしも瀬里奈も覚悟していたことなので、異存はない。もっとも調べる方は大変だったろう。珍しく彼女は不機嫌そうな顔をしているが、それも無理ないかな。何しろあの映像を何度も見直す羽目になったのだから。
 「次に撮影に使われたビデオの機種ですが、TRIXIS社製NS‐Gモデル。二年前に発売された高機能型のハンディビデオです。沙羅さんは詳しいですよね」
 「ちょ、ちょっと、何でそんなことまでわかるのよ」
 「瀬里奈さんは御存じないかもしれませんが、撮影機器のデータは消さない限り残るものなのです」
 「逆に言うと、そういうデータの消し方も知らない素人が撮ったってことね」
 機械音痴の瀬里奈を無視して、あたしは紫苑の後を引き継ぐ。
 「NSシリーズは多機能を売りにした家庭向け、それも高所得層向けのモデルよ。手振れ補正とか防水性には優れているけど、映像のプロが使いたがるものじゃないわ」
 「やけに詳しいわね」
 「‥だって、うちの商品だもん」


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