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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第2章 疑惑-3

 何か得体の知れない違和感に息苦しさを覚える。何かしら、この感じは以前にも経験した覚えがある。
 不意に既視感とも言うべき感覚が蘇る。そうだ、これは生徒会時代、校則違反の常習者が宗旨替えした時の態度にそっくり。
 「‥あの、紫織さん、どうかしました?」
 私は余程茫然としていたのかしら。気がつけば、薫に心配そうな目を向けられており、動揺を見せまいと振舞うが、不自然な笑みを浮かべるのが精いっぱいだった。訝しむ彼女だが、腕時計に目を落とすや、少し慌てた素振りを見せる。
 「大変、ピアノのレッスンが始まってしまいますわ。すいません、今日はお暇させて頂きますね」
 楽しいおしゃべりを名残惜しそうに、軽く会釈して薫は背を向ける。
 動揺収まらぬ中、私はその後ろ姿を、まるで知らない人を見るような目で見送った。


 「ねぇねぇ、桜井センセってさ、男いると思う?」
 「‥何よ、いきなり」
 さも興味のなさそうな瀬里奈に、あたしはブーイングを飛ばしてやりたくなった。このつまらない作業に潤いを与えようとする、つつましい努力を無視しないでよね。
 放課後、三人揃って新聞記事の作成を始めたのはいいけれど、報道記事と違って、学院の歴史記事なんて資料の整理がメインで、面白くもなんともない。
 「だってさ〜、大人しそうな顔してるけど、あの人妙に色っぽいところない?」
 「‥まったく、先週のテストが悪かったからってくだらないこと言わないの」
 グサッ!痛った〜い、図星が刺さった〜。
 「ふんっ、何さ〜、かまととぶっちゃって、そんなこと言ってるから瀬里奈はモテないのよ」
 ‥あ、苦虫を噛み潰したような顔になった。ひょっとして気にしてたのかな。実際瀬里奈は十分美人なんだけど、素行が悪いせいか、男の子が怖がって近づかないのよね。
 昼間、遅刻寸前の思いをして運んできた資料を、スキャナーでパソコンに取り込みながら、今度は矛先を変えてみる。
 「ねぇねぇ〜、紫苑はどう思う?」
 「そうですね、男は知ってそうですけど、どなたかとお付き合いしているようには見えませんわ」
 そうそう、紫苑はこの手の話が決して嫌いじゃない。パソコンから目を離してないが、しっかり気持ちはこっちを向いている。
 「でも、あの人新卒二年目だから今二十五でしょ。いてもおかしくないじゃな〜い」
 「そうですけど、男より仕事が大事って感じしません?」
 「あ〜、それはあるかも」
 なるほど、確かに桜井ちゃんはそんな感じがする。しかしそうなると、うちの学院の男子共は喜んでいいのか悪いのか。いつも地味なスーツ姿だけど、スタイルの良いヒップを、もの欲しそうに眺めてるのをあたしは知っている。


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