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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ソレゾレノケツイ-20


 その言い方はまるで産まれて初めて女性器を見たという感じだ。

「あ の……」

 大分呼吸の整ったリュディは、かすれた声でランスに呼びかける。

「はい」

 ランスは指で穴の入り口辺りをくちゅくちゅ弄りながらリュディに視線を向けた。

「ん お聞き し難いのですが……まさか……」

「はい。女性を抱くのは勿論、裸体を見るのも初めてです」

 つまり、童貞。

「え、ええっ?!あの……王族は……」

「ああ、実技の性教育はまだ受けて無いのです。やはり初めては好きな女性が良いので逃げていたんですよね」

 予定が組まれる度にノアを巻き込んで逃亡していた。
 実は今回の旅も実技を避ける為、口実を作って出てきていたのだ。

「そういう訳でして、下手かもしれませんが精一杯頑張らせて頂きます」

 男性の方は自分がどうしたら気持ち良いか知っているので大丈夫だが、女性の方は知識だけ。
 気持ち良くなかったらすみません、と頭を下げるランスをリュディは呆然として眺める。

 「愛を囁くのは貴女だけ」という台詞も、好きな女性と一緒にお風呂に入るのが夢だったという話も全て本当。
 性器を見て「初めて見るので」の言葉は、両性具有の性器という意味では無かった。
 確かめたり試したりする愛撫に、いちいち感想を聞いたりする行為は初めてする事だから。

 所々感じた小さな疑問が、やっと解決された。

「あの……私で良いの……でしょうか……?」

 童貞を捧げる相手が自分の様な得体の知れない人間で。
 そう言って怯んだリュディに、ランスは右手で淫口を弄りながら伸び上がりキスをした。

「貴女が良いのです、リュディヴィーヌ。何度も言わせないで下さい、貴女が私の理想ですから♪」

 でも望むなら何度でも言いますけど?とおどけるランスに、リュディはふんわりと微笑む。

「……はい」

 そうだ、ランスは初めから嘘はついていなかった。
 いい加減、心から信じても良いじゃないか……リュディの中にあった微かな畏れや疑いの気持ちスウッと消える。
 リュディの微笑みをたっぷり鑑賞したランスは、チュッと音を立ててキスをし、女性器弄りを再開させた。



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