投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 96 もう君に会えない 98 もう君に会えないの最後へ

垣間見える過去-14

結局、あたしの方もそれっきり塁の話はしなくなり、あとはいつも喫煙室でするような他愛のない会話をしていた。


こういう下らない話だと、割とスムーズに話せるようになったのは、初めて会った時に比べたら大きな進歩だと思う。


でも、こうして話をするようになって受けたのは、やはり副島主幹の言うとおり、昔は明るかったんだろうなと言う印象。


話す内容も時折ユーモアがあったりで聞くだけで楽しかったし、何よりおしゃべりしてくれる時の彼の活き活きした表情が、あたしの心のどこかを疼かせた。







「……なんかすいません、あたしが誘ったのに」


8時を少しまわった所で、あたし達は店の暖簾をくぐり抜け、外に出た。


ジメッとしたぬるい空気が一気に肌にまとわりつく。


あたしが謝ったのは、久留米さんが全部会計を支払ってくれていたから。


彼は何度もお金を差し出そうとするあたしを制し、


「普段どこにも出歩かないから金の使いどころがわかんないんだ。

若い娘と一緒に酒も飲めたし、これはお礼ってことで」


と、ニヤリと笑った。



もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 96 もう君に会えない 98 もう君に会えないの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前