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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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広がる不安-3

「鎌倉で撮影があるから協力してくれって....」
「えっ!断っちゃったの?」
「あたりまえだろ!女装なんて....」
ふと姫川さんを見ると必死に笑いをこらえているみたいだった。
「もしかして....知ってた?」
「だって....ウチの父の会社ですもの....本当は昨日連絡先を知らないか?って聞かれたんだけど知らないって答えたから....」
「そうだったの?でも俺は女装の趣味なんて持ってないっつうの!」
「ねぇ純兄ちゃん....どうしてもダメ?」
笑美ちゃんが上目使いで見つめた。
「そんな目で見られてもダメだよ!」
平静を装ってそう答えたが一瞬笑美ちゃんの目にクラッときて引き受けそうになった。
「残念だなぁ....美菜お姉ちゃんと撮影を見に行くのに....」
「ねぇ?葛城君....どうしてもダメ?」
「あたりまえだろ!」
「そう....それじゃあ仕方ないけど....梓さん大丈夫かしら....この前また大事な所で失敗したって聞いたけど....また....」
「それとこれは関係ないだろ!」
「そうね!関係ないよね....」
俺は姫川さんの顔つきに一抹の不安を覚えた。
姫川さん達が
「それ本当なの?美菜お姉ちゃん?」
「さぁ....」
「えっ?」
「梓さんがケアレスミスをするのっていつもの事でしょ!それにほら!葛城君を見て!」
「あっ!もしかして....」
「うん!」
そんな会話をしているのに気づかなかった。

このまま無視するのは簡単だが梓さんの立場もある....こうなったら....俺が女装していてみんなを騙していた事にすれば....俺がふざけて女装していた事にすればなんとかなるのでは....そう考えて、授業が終わってから香澄さんに電話をかけた。
「香澄さん..今、大丈夫ですか?」
「ああ....仕事が早く終わって家でゆっくりしているところだ!」
「それならお願いがあるんですが....」
「なんだ?」
「実は....」
俺は事情を説明して、カツラを借りる事にした。
「メイクもしてやろうか?」
そう言ってくれたが、男だとバラすつもりだったので断った。



「城崎君!社長から頼まれ件は大丈夫なのだろうね!」
部長が私に話しかけてきた。
「部長....その事なんですが....」
私は席を立って部長の前に行った。
「実は....」
何度か電話したが断られたと報告しようとした時
「部長!カメラマンさんがお着きになりました!」
そう声をかけられた。
「わかった!すぐ行く!」
部長はそう答えて席を立ち
「城崎君!行くぞ!」
部長にそう言われれば
「はい....」
そう答えるしかなかった。
会議室に入るとカメラマンさんが笑顔で迎えてくれた。
「我が儘を聞いてもらって申し訳ありません....あの子をどうしても撮りたくて....中性的な魅力が堪らないですよ!」
「いえ!こちらこそ我が社が輸入する服を使ってもらえるという事で....」
部長とカメラマンさんは握手を交わしていた。
「スタイリストとも話したんですけど....あのブランドはお宅が優先的に輸入しているとか?」
「ええ....まだまだ無名のブランドですが....将来的には名の知れたブランドになると考えております。」
「そうですか....ところで..お願いした件は?」
「ああ....彼女がその子の知り合いですので....あっ城崎君こっちに!」
「はい....」
私は重い足取りで部長の隣に歩いて行った。


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