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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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広がる不安-4

「あの....実は....」
私が言いかけた時
「城崎君....まさか....」
部長が不安そうに聞いてきた。
「申し訳ありません....」
私が頭を下げると
「今日はありがとうございます!」
ドアを開けて社長が入って来た。
「イヤァ....城崎さんもお人が悪い....もう少しで騙されるところでしたよ!」
顔を上げるとカメラマンさんは笑顔で入り口を見つめていた。
「えっ?」
振り返ると、女装した純君が立っていた。
「どうして....」
「会社の前で偶然逢ってね!案内して来たんだ!それじゃあ宜しく!」
社長は会議室を出て行った。
「あっ!社長!お待ち下さい!」
部長が社長を追いかけるように出て行った。あとの事は私に任せて....
「今日はわざわざ来ていただいてありがとうございます!実は....」
純君に説明しようとした時
「申し訳ありませんが....モデルの話はお断りさせていただけませんか?」
純君が頭を下げた。
「どうして?お礼なら....」
カメラマンさんが慌てて声をかけた。
「いえ....そんな事じゃないんです....」
「だったら....どうして....僕は君を撮りたいんだ!」
「ゴメンなさい....」
純君は頭を下げ続けていた。
「無理強いは出来ないけど....良かったら理由を聞かせてもらえないか?」
純君は顔を上げしばらく考えて
「実は....」
躊躇いがちにカツラを外した。
「君は....」
カメラマンさんが驚いていた....
「申し訳ありません!クリスマスパーティーの時に罰ゲームで女装させられて....それが友人達に評判が良かったので....調子に乗って梓さんを騙そうと....」
「君達は知り合いなのか?」
「はい....梓さんのマンションの下の階に住んでいます....それで....従姉妹だって嘘をついて....まさかこんな事になるとは....」
「純君....」
「ハハハ....まさか君が男だったとは....僕もすっかり騙されたよ....」
「申し訳ありません....」
純君は申し訳なさそうに頭を下げた。
「でも....やっぱり僕は君を撮りたい!モデルになってくれないか?」
「えっ?」
私も純君も驚いてカメラマンさんを見つめた。
「僕は中性的な魅力を持つ君を撮りたかったんだ!君が男でも問題ない!」
「えっ!ええっ!!」
純君は叫び声を上げた。
部長が再び戻って来た時は何故か純君がモデルになる事になっていた。
「今日はありがとうね!」
帰り道、私は上機嫌で話しかけてた。
「梓さんは良かったかもしれないけど....」
純君まだ少し不満そうだった。
「そんなにイヤだったら来なければ良かったのに....」
「そんな事すれば....梓さんのクビが危なかったんでしょ?」
「へっ?私のクビが?何で?」
「えっ?姫川さんが....」
「ええっ!!そんなにヤバい立場にいたのか?私は?」
「って....気づかない梓も....あっ!」
「ん?どうした?」
「もしかして....俺....姫川さんに騙されたんじゃ....梓さん最近何か失敗しましたか?」
「自慢じゃないが毎日のようにしてるぞ!計算ミスに入力ミス、居眠りにそれから....」
「もういいです....クビになるような大きなミスをしてないんですよね?」
「あたりまえだろ!考えてみろ!私がそんな大事な仕事を任せられると思うか?もしそうなら任せたほうに問題があるだろ!」
「梓さん....それ自慢する事じゃないです....」
「ん?そうか?でも....今日はありがとうね!」
「はい....」
純君は肩を落として歩いていた。
「梓さん....」
「ん?」
「土曜日....上手くいくといいですね?」
「な....急に何言い出すんだよ!」
私は少し動揺した。
「クリスマスの前みたいに絡まれたくないですから....」
「あっあのなぁ....」
「でも..事実でしょ!」
「うっ....」
そう言われては返す言葉がなかった....
「こ..今回は大丈夫だよ....きっと....」
「だといいですね?」
「大丈夫だよ!たぶん....」
自分の中で自信がなくなっていった。




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