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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの世界-16

「……なんで?」


今度は訝しい表情をこちらに向ける久留米さん。


あたしはその表情を見てハッと我に返った。


迷惑そうな顔をされた途端、塁のことが頭によぎったからだ。


身体だけの関係を続けていても、ヨリを戻したいあたしはどうしてもラブホ以外でも会いたくなる。


だから、たまにはご飯やお酒でも行かないかと誘う時があるんだけれど、決まって塁は今の久留米さんみたいな表情になっていた。


ホテルに誘う時は嫌な顔しないクセに、外で会うとこんな表情になるのは、やはりあの娘の存在があったからなのかな。


あの娘が本命で、あたしなんかと一緒にいる所をうっかり見られて誤解されたくなかったのだろうか。


考えれば考える程塁の世界が遠くに感じてしまい、あたしは俯いて久留米さんからそっと手を離した。





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