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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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トラブルの果てに-9

あたしが窓口に立った時、昼休みはまだ四分の一にさしかかったばかりだった。


松村主査らが話していた中華料理屋は、ここから少し遠くにあるから、戻ってくるのは昼休みが終わるギリギリか。


でもお客さんにしてみれば、住基ネットを取り扱える職員が、お昼を食べに外出してるなんて関係ない。


あたしは首に汗が流れるのをそのままに、このお客さんに訊ねてみた。


「住民票の写しはお持ちじゃないですか?」


「あれ、市役所に行ったら、住民登録されてれる都道府県で申請するなら写しは必要ないって言われたんだけど」


白髪の割合が格段に多い旦那さんが怪訝そうな顔をあたしに向けた。


……ですよね。
しかも、さっき必要書類確認しましたもんね。
それで大丈夫だったから、住基ネット立ち上げてもらおうとしたんだもんね。


一人心の中で自分に突っ込んでみる。


でも、目の前のご夫婦はピクリとも笑わずにあたしの次の言葉を待っているようだった。



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