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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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トラブルの果てに-10

仕方なしに今度は、以前にパスポートを作ったことがあるのかを質問した。


これを質問する理由は、パスポートの有効期限がまだ残っていて、それが一年未満に差し迫っていた場合、切替発給扱いとなるからだ。


そうなれば、有効期限が残ったパスポートが必要になるため、お客さんには出直してもらうことになるから、この場を切り抜けられることになる。


しかし、どうやらご夫婦はパスポートを作るのが初めてらしく、これも問題なくクリアしてしまった。


ならば、パスポート用の写真だ。


写真が規格からズレていたりすれば、それを理由にこのままでは申請できないと伝え、一旦引き下がってもらえる。


例えば、顔をカメラに近づけ過ぎてやけにアップになっていたり、逆に遠くなりすぎて小さく写っているのはアウトである。


また、眼鏡が反射して写っていたり、顔の表情がわからないような髪型だったりしていても好ましくない。


いつもなら、お客さんにはこの写真の条件をちゃんと満たして欲しいと思うけど、この時ばかりは写真がアウトになって出直してもらいたかった。


そんなことを密かに願いながら、あたしは差し出された写真を見た。


ご夫婦が持ってきた写真は、インスタントで撮った写真なんかじゃなく、ちゃんとした写真屋で撮った写真であり、サイズ・髪型・表情まで完璧といっていいほど条件をクリアしていた。


あとは、申請書を記入してもらいながら住基ネットで住所を確認しなくてはならない所まで来てしまった。


あたしは、全身に嫌な汗をかきながら、ご夫婦の希望である10年用のパスポートの申請書とボールペン、それにラミネート加工された書き方の見本を二人の目の前に置いて、


「それでは、こちらの見本を参考に丁寧に書いて下さい」


と自信のない声で言った。



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