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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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トラブルの果てに-16

だけど久留米さんは、お愛想程度に頭を軽く下げただけで何も言わないまま、県税課の自分のデスクに戻って行く。


……ホント、愛想のない男。


あたしは彼の大きな背中に呆れたようにため息を吐いた。


でも久留米さんがいなかったら、きっとあたしは泣きながらお客様に松村主査と寺内主事の職務怠慢をぶちまけていたかもしれない。


誰も助けてくれなかった中で救いの手を差し伸べてくれた彼にはやっぱり感謝だよなあ、と思い、ため息を吐いた口元をフッと緩め、彼の背中に向かって深々と頭を下げた。


顔を上げ、あたしも広げっぱなしになっていたお弁当を片付けようと戻りかけた時、


「いやあ、あの担々麺、マジ最高でした!」


とゴキゲンな様子で話す寺内主事の声が聞こえてきた。


見れば、今頃になってのんきに現れた松村主査と寺内主事の姿。


二人の満足そうな表情に、メラメラ怒りがこみ上げてきた。




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