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傍らに咲く花
【同性愛♀ 官能小説】

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上り坂の途中-4

自称・モテない女、の小夜。


ちょっとぽっちゃりした身体がコンプレックスだという彼女は、自らを恋に縁のない女だと、思い込んでいたらしい。


俺からすれば、健康的に見えるし、そのふっくらした身体の抱き心地がめちゃくちゃ気持ちいいから、痩せる必要なんてないと思うんだが、小夜は納得してないらしく、いつも『痩せたい、痩せたい』と言っている。


そんな彼女は、輝くような恋をするのは、モデルや女優みたいな綺麗な女だけで、自分みたいな女はそんなのが似合わないと思っているらしく、結果、笑いをとったり場を盛り上げたりと、恋愛とは関係ないことばかりをしていたそうだ。


まず、そこが根本的に間違ってる。


綺麗な女だけが恋をするなんて偏見甚だしい。人間誰だって恋に落ちる時は落ちるんだ。恋愛が美男美女だけのものだなんて、漫画やテレビの見すぎじゃないか?


それに、綺麗な女ばかりが男にモテるって思い込んでいるのも、ちょっと偏った考えだ。


そりゃ、綺麗な女や可愛い女が人気なのは当たり前だけど。


でも、小夜のように、華やかさには欠けているとしても、いつもニコニコ朗らかで、周りを明るい気持ちにさせてくれる元気な女を好きって野郎もごまんといることを、きっとコイツは知らない。


事実、俺が以前働いていたカフェの社員の沼津さんは、小夜が入って来たばかりの頃、


「アイツ、元気で可愛いけど、身体はムッチリしてエロいんだよなあ」


なんて、俺に無邪気に話しかけてきたかと思えば、


「ああいう色気のないタイプを、自分好みに育ててみてえな」


などと、遅番のベテランフリーターの福沼さんも物騒なことを言ってるし。


それを耳にした俺は、いてもたってもいられなくなって、一足先に勝負をかけることにした。


やたらと意地悪したり、ちょっかい出したり、という今思えばガキと変わらない稚拙な愛情表現。


でも、恋愛に奥手な俺にはそれが精一杯の想いの伝え方だった。


これで周囲の人間に、俺が小夜に粉をかけているアピールはできたものの、恋愛の経験値が圧倒的に足らない小夜にとって、俺の愛情表現は単なる嫌がらせとしか捉えていなかったらしい。


この超鈍感女に散々手こずらせられつつも、想いが通じ合えたのは、また別の話。


とにかく俺は、小夜を自分のものにするために、散々苦労してきたと自負しているから、今さら他の野郎に横入りなんてしてもらいたくないのだ。


小夜は単純だから、実は自分がモテてると知ったら、舞い上がったり、変に他の男を意識してしまうかもしれない。


だったら、自分がモテないと思い込んでくれていた方が俺も安心なのである。




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