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傍らに咲く花
【同性愛♀ 官能小説】

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上り坂の途中-3








「あー、食った食った。すげえ美味かった」


たらふく食ったせいか、少し膨れてしまった腹をさすりながら、ベッドに座った。


俺の家のベッドよりも若干柔らかいそれは、ギシッとスプリングを鳴らしていた。


食事の後片付けを終えた小夜は、そのベッドを背もたれにして、ちょこんと三角座りをする。


「今日は翔平のお祝いなんだから、後片付けなんてしなくてもよかったのに」


「二人でやった方が早く終わるじゃん。それに俺、お前から一時も離れたくねえんだけど?」


そう言って屈むように小夜の背中を抱き締めると、彼女はクスクス笑った。


「翔平って、付き合う前と後じゃ全然キャラが違うよね」


「そう?」


「うん、付き合うまではクールで無愛想だったのに、今じゃこんな甘えん坊なんて。典型的ツンデレってやつ?」


「だって、あん時はとにかくお前の前でいいカッコしたかったもん」


「そのわりに、あたしには随分意地悪だったような気がするんですけど?」


「それは、お前があまりに鈍感過ぎるからだよ。挙げ句の果ては、俺なんて全く眼中無しで『彼氏欲しい』なんて騒ぐんだもん。だから、気付けよ! ってついつい意地悪しちゃうんだよな」


そう言って、軽いヘッドロックをかましてやれば、小夜は「キャー」と笑いながら小さく悲鳴をあげる。


緩く束ねた髪の毛がふわりと鼻をくすぐって、意外とほっそりしているうなじから、女独特の甘い花のような匂いが香ると、密かに心臓が跳ね上がる。


ああ、このまま抱きてえ……。


そんな邪な俺の想いに気付かない小夜は、俺の腕をキュッと握りしめて、へへへと照れたように笑った。


「だって、翔平みたいなカッコいい人があたしを好きになるわけないって思ってたもん」


「なんじゃそら」


「……ほら、あたし、ずっと付き合ったことなかったでしょ? 男の子からも告白なんてされたことなかったし。だからずっと自分を“モテない”女って自覚してたから」


そんな小夜の言葉に、思わず目を丸くして、


「お前、それは……」


と否定しかけたが、言葉を思わず飲み込んだ。


いや、待てよ? むしろ小夜はこのまま自分をモテない女だと思い込んでくれてた方が、都合いいんじゃなかろうか?




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