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Twin's Story 外伝「Hot Chocolate Time 2」〜幻影タイム
【複数プレイ 官能小説】

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母と娘-1

 露天風呂から戻ってきた修平と夏輝は、同時に同じように目を擦りながらあくびをした。
「眠そうじゃないか、二人とも」健太郎がおかしそうに言った。
「風呂に入ったら、どっと疲れが出ちまって……」
「風呂で何か疲れること、やってたのか?」

 夏輝の顔が赤らんだ。

「そう言うおまえらもだったんだろ? ケンタ」修平はにやりと笑った。
「そ……」健太郎と春菜も赤面した。
「修平、いつになく激しくってさー……」夏輝が口に手をかざしてまたあくびをした。

「じゃ、俺たち寝るわ」修平は春菜と健太郎にそう言って、夏輝と一緒に自分たちのテントに入っていった。

「私もなんだか眠くなってきちゃった……」春菜も目を擦った。
「休もうか」健太郎は春菜を促し、自分もテントに入って、開けていた入り口のシートを下ろし、ジッパーを閉めた。


 健太郎は夜中にふと目を覚ました。横で春菜が静かに寝息を立てている。
「何だか喉がかわいたな……」

 健太郎は春菜を起こさないようにしながらそっとテントを出た。

 流し場に足を向けた健太郎は、そこに一人の女性が立っているのに気づいた。
「え?」健太郎の背筋に冷たいものが走った。

 その女性は、健太郎の姿を認めると、困ったような顔をして小さな声で言った。「あ、あの……」
「ど、どうかしましたか?」健太郎はその女性に恐る恐る近づいた。

「すみません。見ず知らずの方に声をおかけしたりして……」

 うつむきがちにそう話す彼女は、特段変わった姿でもなく、普通の人間の女性だった。年の頃は40前後ぐらいだろうか。物腰も柔らかそうで、礼儀正しい言葉遣いだった。ただ、古風だが誰が見ても疑いなく美人で、その肌は透き通るように白く、左目の下にある泣きぼくろをことさら目立たせていた。



「私は娘と二人でキャンプをしに来たのですが、ロープを止めていたペグがどうしても抜けてしまって、テントが傾いてしまうんです」
「そ、そうですか」
「女の力ではどうしようもなくて……」

 健太郎は、このキャンプ場に来ているのは自分たちだけだと思っていたので、素直にその疑問をぶつけた。
「いつからここに?」
 その女性はすぐに答えた。「先ほどです。ふもとであれこれやっているうちに暗くなってしまって……」
「そうですか」
「先客のあなた方がいらして、実はとっても心強く思ってますのよ。やっぱり女だけだと不安が多くて……」

 健太郎は思った。そもそも母と娘だけでのキャンプ、というのが不自然極まりない。見たところ、それほどアウトドア愛好家とも思えない上に、細身な風貌と華奢なその身のこなしが、このキャンプ場自体にそぐわない感じがした。

「テントはどちらに?」
「こちらです」女性は流し上に置いていた古めかしいランプを手に取り、そこを離れた。健太郎は彼女の後をついて行った。


 そこは例の狐の祠のある空き地だった。

 その真ん中に張られたテントは、確かに斜めに傾いている。入り口の左に差してあったと思しき一本のペグが外れたままになっていて、そのそばにまだ中学生ぐらいのショートパンツ姿の女の子が途方に暮れて座り込んでいる。

 その少女は、健太郎を先導していた母親の姿を認めると小さく叫んで立ち上がった。「あ、お母さま」

「(『お母さま』?)」健太郎は眉をひそめた。

「助かったわ。この方がお手伝いして下さるって」母親が言った。

 健太郎はペグを手に取り、芝生の地面に差してみた。場所によっては確かに柔らかく、ロープを張れば抜けてしまうことは容易に想像できた。それでも彼は何とか固定できそうな所にいくらか鋭い角度をつけてペグをハンマーで打ち込んだ。そして外れていたロープを結びつけると、手で引っ張って弛まないことを確認した。

「たぶん、これで大丈夫だと思います」健太郎は腰を伸ばした。

「ありがとうございました」母親の方が丁寧に頭を下げた。
「お茶でも飲んで行かれませんか? お礼に」娘がにこにこ笑いながら健太郎を誘った。その娘の左目の下にも母親と同じように小さなほくろがあった。
「どうぞ」母親が健太郎の手を取った。

 その手は温かで、柔らかだった。その心地よい感触は健太郎の身体の中に染み渡り、それと同時に彼は猛烈な眠気に襲われた。


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