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異種間交際フィロソフィア
【ファンタジー 官能小説】

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オオカミさんの ほしいもの -15

***

 ――真っ白い空間で、赤い狼の頭をした青年が、小さなマルセラを見下ろしていた。

『俺は一人でも平気なはずだったんだ』

 なんだか悔しそうに、赤い狼がうな垂れる。

『お前のもってる物なんか、欲しくねぇんだよ』

 拗ねた子どものように、赤い狼はそっぽをむいた。チラリと横目でこちらを見て、何度も躊躇ってから、ようやく鋭い牙の生えた口を開く。

『でも……な、どうしても欲しいのは、モノじゃなくて、お前だって言ったら……お前は自分をくれるのかよ』

『わたしを……?』

 キョトンとしたマルセラに、赤い狼が噛み付きそうな声で唸る。

『婆さんのところに遊びにいったって良いさ。俺がどんな化物からも守ってやる。けど、最後は絶対に俺の所に帰ってくると約束しろ』

 長身の狼は膝を折り、マルセラを抱き締めた。

『お前をくれよ。お前以外は、何にもいらない』

 泣きそうな声で言う赤い狼に、マルセラも思い切りだきついた。
 誰よりも強くて、ちょっとだけ意地悪な、この最高の英雄が、マルセラだって大好きなのだ。

『あげる! なんでもあげるって、やくそくだもん』

『……本当か?』

『うん!』

 琥珀色の両眼をまっすぐ見て、約束する。
 もうどこにも離れないように、大きな手を、ぎゅっと両手で握りしめた。


『だから、ずっと、いっしょにいようね!』


 終




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