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THANK YOU !! ver. distance love
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-5



道場で練習を重ねる拓斗は、休憩を取って昨日に引き続き瑞稀のケータイに連絡を入れていた。
また電話に出ないんじゃないかと不安に思いながらコール音を聞いていると、急にプツッという音がした。慌ててケータイを持ち直して受話口で瑞稀の名前を呼んだ。
しかし、聞こえてきたのは瑞稀の声じゃなかった。

『モシモーシ。』
「・・・!?だ、誰だ!?」

思わず日本語で答えてしまったが、日本語のイントネーションが変だし、声が高い。相手は外人の女性のようだ。拓斗の慌てた声に相手も驚いたのか小さく唸り声がしたが、すぐに、『アァ!』という声が聞こえてきた。

『アナタ、ミズキのボーイフレンド、ネ!?』
「そうですけど・・」

ミズキの名前が出され、さらに関係も当てられてしまい、反射的に質問に答えてしまった。とりあえず、こっちの質問にも答えてもらいたい。
そう言おうとした時、さらに受話口から声が聞こえてきた。

『ワタシ、ハ、ミズキノ、ナカマデ、トモダチノ、エンディ・シャルテスト!』
「はぁ・・エンディ、さん・・どうも・・」

外国人特有のテンションに、元々テンションの低かった拓斗はしどろもどろな返答したか出来ない。次第に冷めていく頭に、どうして瑞稀のケータイにかけたはずなのにこんな外人が電話に出てくるか疑問が湧き出てきた。

「・・あの、とりあえず、日本語で話して大丈夫ですか?」
『オーケー、オーケー!』
「あ・・そ、そうですか」

確認の意味で聞いた質問に今度は難なく答えられて、逆に戸惑う。が、ペースに巻き込まれてはダメだと思い直して、気持ちを入れ替える。

「あの・・、瑞稀のケータイですよね?何でエンディさんが?」
『ミズキ、キョウ、ゲンキナカオヲミセニ、ホールニ、キタノヨ。ソウシタラ、ミンナガ、ゲンキデヨカッタッテ、ウレシクテ、ツイメチャクチャシテ、ケータイヲオトシテイッタノヨ。』
「・・メチャクチャって・・」

辿たどしい日本語をなんとか聞き取って、言葉をつなぎ合わせる。
どうやら、久しぶりに練習に来た瑞稀を仲間の皆が喜びのあまりに抱きついたりなんたりして瑞稀がケータイを落としてしまったんだろう。それを届ける為に預かっていたところに自分から電話がかかってきたっていうところだろう。
抱きついてくる仲間に瑞稀が照れくさそうに戸惑っている姿は容易に想像出来て、顔を綻ばせた。だが、そこまで状況判断してから、新たな疑問が生まれてそれも消え去る。

「あの、元気な顔って・・どういう意味ですか」

嫌な予感がして、何か聞いてはいけない気がする。だけど聞かずにはいられない。
わざわざ元気な顔を見せて、仲間が喜びのあまりに飛びつくっていうのはいくら外国といえどもあまりにも大げさすぎる。
そんな推理が頭に出てきて、警報を鳴らす。昨日、考えてしまった最悪な事態に繋がりそうで。そんな拓斗の早まる心臓を他所に、受話口から溜息が漏れた。

『アァ・・ヤッパリ、イッテナカッタノネ・・。ミズキ、ミッカマエ、タオレタノヨ。ネブソクト、ストレスノタメスギデネ。』
「・・・・・」
『ヒトリデ、レンシュウシテイテ、タオレタノヨ。ワタシタチモ、キヲツケテハイタンダケレド・・。』
「・・・・」
『ズット、ムリバカリシテイテ、ニッポンデノ、コウエンデノシッパイカラ、マスマス、ムリスルヨウニナッテ。』
「・・・・」
『ミテルワタシタチガ、ツラクナルホドニネ・・。アゲク、メンバーヲハズサレテ、セイシンテキニモ、ニクタイテキニモ、ゲンカイヲコエテイタノヨ』

エンディから流星のように告げられる言葉に、拓斗は何も言えなくなった。
それどころか、頭が真っ白になった。

一体これはどういうことだろう。まさか本当にそこまで事態が悪化しているなんて、考えてはいたが心のどこかで違うと信じていた。だが、どうだろう。モノ見事にそれを裏切られたわけだ。勿論、悪い意味で。自分には、何も言ってくれなかった。ずっと、話す機会はあったはずなのにことごとく全てかわされて、挙句の果てに最悪の事態を本人からではなく、仲間から聞かされている自分。いつの再来だろうか。

さらに、三日前に倒れたということは昨日、一昨日と電話したときは眠っていたときで、その後に電話をかけ直してくれてもいいわけだ。しかも拓斗は留守電で、何かあったら何でも話して欲しいと言ったはずだ。それなのにも関わらず、話してくれるどころか電話をかけ直してもくれない。

「俺は、恋人じゃないのか」

秋乃の言葉が蘇り、胸を突き刺す。瑞稀が大切で、支えたいから特別な関係になったわけで。なのに肝心の瑞稀は何も話してくれない、頼ってくれない。必要としてくれない。
これじゃまるで、

「俺ばかりが・・恋人だって思ってたみたいじゃないか」

そう悔しげに呟いたとき、受話口から違う声が聞こえてきた。
それは自分が聞きたいとあれほど願っていた、最愛の人のもので。

『エンディ!何で人のケータイで電話してるの!(英語)』
『何でって、電話がかかってきたからに決まってるでしょ?(英語)』
『頼んで無いでしょ、しかも相手は誰!(英語)』
『彼氏よ、彼氏。ミズキのね(英語)』
『・・!!拓斗って、余計に怒るよ!?何を言ったか知らないけど!(英語)』
『安心して。バカな話はしてないわ(英語)』
『聞いてない!とりあえずケータイ返して!(英語)』

瑞稀の言葉から、ガサガサっという雑音がしたあと、受話口に出たのは瑞稀だった。

『もしもし、拓斗!?って、『エンディ、早く練習戻っていいから!(英語)』』
『つれないわねー、ケータイ届けただけなのに。(英語)』
『『はいはい、ありがとう。(英語)』・・ふぅ・・拓斗、ゴメンね、エンディが変なこと言っただろうけど気にしなくて・・』
「・・・」



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