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THANK YOU !! ver. distance love
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-4




次の日。瑞稀は三日ぶりに練習に向かった。
というのも、とりあえず心配をしてくれた仲間に顔を見せるべきだと思ったので、ホールに顔を出したくらいだ。勿論、メンバーでは無い自分が練習を邪魔すべきではないのは分かっていた。
だけどエンディがパニックになったと言うくらい、皆は瑞稀の思っていた以上に心配してくれていたようで、顔を見せにホールへ入った瞬間、皆からもみくちゃにされながらも安堵された。
そんな仲間たちを照れくさくも、嬉しく思っていた瑞稀に次の公演が日本で行われる事を知らされた。

『日本で?』
『そう。だから今度こそ、ミズキに戻ってもらいたいの。』
『・・・ゴメン・・まだ、ボスから言われてないんだ。』
『・・そっか・・』

今だにメンバーに戻る事を告げられていない自分よりもショックを受けてくれている仲間に嬉しさと罪悪感を感じながら、瑞稀はホールの奥にある椅子に座っているボスへと目線を送るが、すぐに逸らされる。
それで、まだ自分はメンバーに戻ることが出来ないと諭される。
どうすればいいか良く分からない瑞稀はただ、自分のなくしたものを取り戻す為に自主練を重ねるしかないのだ。
とりあえず、顔を見せて自分の無事を見てもらった事で目的は果たせたし、何よりこれ以上台で待っていてくれている指揮者のカンに障るとマズイと思った瑞稀は早々に立ち去ることにする。

『じゃあ、私、いつも通り自主練しに行くから。頑張ってね』
『あ、ミズキ・・!』

仲間の引き止める声に振り返ることなく、足早にホールを後にした。
事態の解決の糸口を掴むキッカケになるのは、恐らく自分の腰にあるトランペット。
それを吹くことで何かが変わるハズだと恵梨の言葉通り、信じてみようと思う。
息を大きく吐き出して気合を入れ直すと、もはや自分専用になっている自主練用に使っている小部屋に向かった。




『ボス!!まだミズキはメンバーに戻れないの!?』
『そうよ!あんなに頑張っているのに!!』
『・・まだ、分かっていないからね。何が大切なのかを』

そう強く言い切ったボスは指揮台に居る指揮者へと目で合図を送った。
指揮者は練習を再開すると言い、オーケストラの仲間たちを構えるように指示を出す。
やはり、オーケストラ。
ボスへ不満をぶつけていた者も、演奏となれば楽器に全てを集中させる。
皆が演奏体制に入ったことが伝わった指揮者が、タクトを上げた瞬間。

『待って。』

とエンディが止めた。
仲間たちがどうしたのかと騒ぎ立て、エンディへ視線を送る。ボスも驚いた表情を向けている。
当の本人はそんなことを気に求めずに立ち上がると、ホールのドアまで歩いた。
そこで屈み、余計に仲間たちはエンディの奇行に首をかしげる。
再び立ち上がったエンディは仲間たちへ拾い上げた物を見せながら、言った。

『ミズキ、ケータイ落としていったみたいだから届けてくるわ。練習していて』

それだけ言うと、ドアを開けて廊下へ出ていった。
エンディの言葉の意味が分からず、しばらくホールの中は瞬きをするしか無い人しか居なくて、なかなか演奏が始まらなかった。




「あ・・しまった。」


自主練室に着いたミズキはトランペットケースを下ろすと、ズボンの後ろポケットに違和感を感じて、手をやった。
やはり、いつもあるケータイの感触が感じられなかったことに納得する。
ケータイを落としたと。
一瞬、どこに落としたかと焦るが、すぐに仲間たちからもみくちゃにされたときだと分かり、ホールに落としたんだと推測が出来た。

「・・どうしようかな・・。」

サイレントマナーの設定にしてあるから音が鳴って、演奏の邪魔にはならないだろうが万が一という場合がある。もし小さくても音が鳴れば練習の妨げになってしまう。
一応念には念を入れて、練習が中断していてホールに入れる状況であれば取ってきてしまおうと、自主練室を出た。




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