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曼珠沙華
【SM 官能小説】

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(後編)-5

女は無意識に体をのけ反らせる。生あたたかい粘膜が私のものをねっとりと包み込む。女の
肉襞の中がこんなにも安らぎに充ち、甘美なものであるとは思わなかった。私は遠く忘れ去っ
ていたものにひたひたと充たされていった。

体をゆっくりと揺すりながら、腰を蠕動させ女の内奥を少しずつ突き上げていく。肉幹の包皮
が女の汁を孕み、まるで痺れるように鱗たっていくようだった。私の額にじっとりと汗が滲む。
私のものを含んだ女の体の輪郭がしだいに霞み、ゆがんでくる。そのとき、霞み始めた女の顔
の輪郭がおぼろげな妻の残像と重なり合ってくる。

私が性を交わしている女は、いつのまにか「谷 舞子」ではなく妻だったのだ。

…あなた…あなたなのね…

小さくつぶやいた妻は、優しげな瞳で私をじっと見つめ、私の体をゆるやかに引き寄せた。
抜き差しするふたりの股間から、ピチャピチャと濡れ音が木霊する。私と妻の体温が互いを
慈しむように混ざり、一体となったふたりの体がゆるやかに溶け始める。妻の肉襞が別の
生き物を潜ませたように小刻みに収縮し、私の漲ったペニスを強く締めつけてくる。


そのときだった…。


…私の首を絞めて… 妻が微かな声で私に囁いたのだ。

わからなかった…。私は妻が吐いた言葉の意味が理解できないまま、妻の声に操られるように、
恐る恐る両手を彼女の首元に伸ばす。私の意志ではなく妻のからだの奥から聞こえてくる何か
に誘われるように私は妻の首を徐々に両手で絞めあげていく。

私は妻の首を絞めて死に至らそうとしていた。妻の顔肌から血の気が引き、唇が紫色に染まり、
瞳は虚ろに潤んでいるというのに、妻は私の手の中で優しげな笑みを浮かべ恍惚とした顔を
見せ始めていた。

…もっと…もっと強く絞めて…あなたに殺して欲しいの…

妻が息苦しい嗚咽とともに私に呟いたような気がした。私は妻の首にかけた手にぐっと力を入
れた。少しずつ妻の首を絞めながらも、私の肉幹は妻のなかに深く挿入され、ふたりのものが
愛おしく睦み合っていた。

妻と私の嗚咽がすすり泣きのように切なく交錯し、深い奈落に堕ちていくふたりの姿が夥しい
光の渦に包まれる。それは決して互いの苦悩ではなく、ふたりの「生」のあかしそのものの
安らぎの瞬間だった。

私は妻の首を絞めているというのに、私の中が烈しい疼きで覆われ、妻の体の中に含まれたも
のがびくびくと小刻みに痙攣し、うねり続けていた。私は全身の力を込めて妻の首を絞める。

強く絞めるごとに妻の嗚咽が私の耳を覆った。同時に私の肉根が激しく漲り、妻の中を貫いて
いく。そして私の精が燦爛と光を放ち、烈しく迸ると同時に妻は恍惚とした悦びに溢れた断末
魔の叫び声をあげ、息絶えたような気がした…。




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