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異種間交際フィロソフィア
【ファンタジー 官能小説】

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異種族間の交際哲学-3


「……ところで、今回はエメリナくんにも相当迷惑をかけたから、何かお礼をしたいんだが」

 不意にそんな事を言われ、驚いた。

「俺に出来る事があったら、何でも言ってくれ」

「え、そ、そんな……」

 この二週間、ギルベルトと色んな話をし、彼自身についても、人狼についても、たくさんの事を教えて貰った。

 満月祭の習慣に、北国フロッケンベルクと人狼の因縁。人狼を滅ぼしたのは、濃くなりすぎた血が起こした凶暴性の暴走ということなど……
 その殆どが、歴史の表に知られていない、狼の子孫だけの秘密だ。

 あの満月の夜、彼を人間社会に引き戻したのが最良の選択だったのか、正直に言えば自信がなかった。
 それを告げると、エメリナの傍にいれば苦痛が和らぐのだと、教えられた。

『選択したのは俺で、間違っていなかったと自信がある』

 そう言って貰えたのがあまりに幸せで、泣きそうになった。
 どうしてこう、いちいち人を有頂天にさせるのが上手なのだろう。
 嬉しすぎて困るくらいだ。大好きで大好きで仕方ない。


「―――本当に何でも良いなら……あの、一個だけお願いが……」

 ゴクリと唾を飲み、おずおずと口を開いた。

「ああ、何をすればいい?」

 ニコニコと微笑むギルベルトを前に、顔が赤らむのを感じた。

 ――ほらほら、千載一遇のチャンスだよ? やりたいでしょ? 我慢しないでいっちゃおうよ!
 ……と、エメリナを唆す声が脳裏に聞える。

 スーツ姿の撮影会も捨てがたいが、あの魅力には勝てない。しかも今日はちょうど新月。
 ギルベルトはいつでも狼の姿になれるが、昼だったり月が細ければ、変身しても駆け回りたくなったりしないそうだ。

 大きく深呼吸し、思い切って要求した。

「先生の毛皮! 思いっ切り、もふもふさせてください!!」

「……も、もふもふ?」

 唖然とした顔で聞き返されたが、こうなれば自棄だと、勢いで詰め寄る。

「狼になった先生、すごく手触り良くって気持ち良いんです! 撫で繰り回して顔を埋めて、尻尾とか耳とか……!!」

「あ、ああ、解ったから落ち着いてくれ。けど、そんな事で良いのか?」

 驚いた顔のギルベルトに、猛烈な勢いで頷いた。

「はい! だって……」

 これこそが、ギルベルトに信頼されていなくては叶えられない、最高の願い事だ。





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