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和州道中記
【その他 官能小説】

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和州記 -雨ニ濡ルル--2

横になるならばきついが、壁を背にして座って寝れば二人で眠るには十分な広さだ。
「うん、此処ならまだましな方や」
言って、一紺は早速腰を下ろすと濡れた着物を脱ぎ出した。
別に変な意味で脱いだわけではなく、濡れた着物を羽織っていると体温が奪われて風邪を引き易くなるからだ。
しかしそれを知っていても、さすがに竜胆はこの場で裸になるのは抵抗があるらしい。
脱いだ着物にしみ込んだ雨水を絞る一紺の傍らで、じっと座っていた。

「竜胆、風邪引くで。早よ脱ぎな」
「わ、分かってる」
返事だけで脱ごうとしない竜胆に、一紺は言う。
「…別にええけどな、風邪引いたって知らんぞ」
「……」
黙りこくる竜胆の前に、一紺は真っ裸で座り込み、呆れたように言った。
「んな今更恥ずかしがってどうすんねん。もっと恥ずかしい格好見せとるくせに」
微かに顔を赤らめて、竜胆は眉根を寄せる。
「あれとこれとは別……んッ」
一紺が、その唇を塞いだ。
唇を重ねたまま、濡れて身体に張り付いた着物を、まるで果物の皮を剥くように丹念に脱がせる。
白いさらしが露わになった。
何も言わない竜胆に、一紺は問う。
「抵抗…せえへんの?」
「しても、無駄だろ」
ぶっきらぼうに竜胆は答えた。
小さく笑い、一紺は更にさらしを巻き取る。
雨に濡れ、冷えた身体を暖めるように、一紺は竜胆を抱き締めた。
「…なあ、知っとる?」
「ん?」
「こう言う時な…体温下げんように裸で暖め合うんが一番なんやて」
「…よく言うよ」
胸をやんわり捏ねられながら、竜胆は言った。
少し膨れて一紺が返す。
「あ、信じとらんな」
言うのと同時に乳頭を弾く。
「やぅッ!」
してやったり、と言うような笑みを浮かべる一紺を恨めしげに睨みつける竜胆。
その腰を抱いて、一紺は笑った。
「こ…のッ」
振り上げた竜胆の細い手首を掴んで、彼は肩を竦めた。
「なーんてな。実は俺がヤリたいだけだったりして…」
冗談めかした一紺の言葉に、竜胆は呆れながら言った。
「全く、どれだけ体力があるんだ」
「さあ…少なくとも今は余裕でヤれる」
言って、竜胆の小さな反応を楽しみながら首筋を舐める。
「馬鹿…んッ」
言いつつ、外気にさらされた白い肌に這う舌の感覚に声を上げる。
一紺は耳から首筋から舌を這わせて行くうちに、竜胆の着物をすっかり脱がしてしまった。
真っ白い、まるで陶器のような肌は薄暗い中で更に白く見える。
「綺麗やな」
「いつも見てるだろ」
「いつも綺麗や思っとるで」
白い面が、微かに赤らんだ。
一紺は笑み、そして彼女の正面から背後へとするりと移動する。
雨で濡れた竜胆の肩を背後から抱いた。
抱き締めると同時に、耳朶に舌を這わせる。

「はぅ…ッ」
表情が見えないだけ、彼の行動が俄(にわ)かには予測出来ない。
胸の鼓動が、早くなる。
「ああ、やぁ、んッ!」
急に胸を鷲掴まれ、いつもよりも声が大きく出てしまう。
そんな竜胆の変化を、一紺は見逃す筈はない。


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