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人妻苑―ひとづまのその―
【若奥さん 官能小説】

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初―うぶ―-5

 これはもしかして──。

 新妻の目が捉えたもの、それは間違いなく未開封の避妊具だった。透明なパッケージに入っているので、中身の形状がストレートに目に飛び込んでくる。
 女性を妊娠させないためだったり、性病に対するエチケットの意味で使うということは、箱入りの紗耶香でもさすがに知っていた。
 しかし実物を見るのはこれが初めてだったので、今の気持ちをどうやって対処すればいいのか、自分でもわからないでいる。
 夫の健吾と交わるときでさえ、避妊具を使ったことがないのだから仕方がない。

「赤い顔をして、どうしたんですか?」

 島袋が重ねて訊いてきた。

「なんでもありません……」

 もはや平常心を失いつつある紗耶香は、自分の行動を制御することすら忘れていた。包帯で巻かれた島袋の腕を自分のほうへ引き寄せると、少し手荒な感じでそれを解いていく。
 このときすでに、島袋の腕は紗耶香の胸に触れていたのである。

 ほほう、これは期待以上だ──。

 ずいぶんと上機嫌になった島袋は、久しぶりに味わう女体の感触に興奮して、この機会を逃すまいと腕をぐっと押し出す。

「きゃ」

 急な異変に気づいた紗耶香が、小さな悲鳴を上げる。心臓がどきどきして、不快な後味が胸全体を覆っていた。

「これは申し訳ない、わざとじゃないんだよ」

 島袋は言い訳をした。

「わ、わかっています……」

 紗耶香は動揺を露わにしながらも、なんとか穏便に済ませようと気持ちを奮い立たせる。
 負傷した人間が卑怯な行為にはしるはずがないという思い込みが、純真な紗耶香の貞操を脅かそうとしていた。

「ほかの役員の人たち、なかなか集まらないですね……」

 慎重な言葉はこびで、新米主婦の紗耶香は言った。自治会の役員会議の開始時間が迫っているというのに、誰一人として姿をあらわさないのだ。

「時間はきちんと伝えたはずなんだがね」

 家主の島袋氏はとくに心配するでもなく、紗耶香にお茶ばかり勧めている。どれだけいただいたのか、紗耶香も覚えていない。

「あのう……」

 押し花のようなその口が、くっと開く。

「お手洗いを、貸していただけますか?」

 その台詞を待っていたのだと言わんばかりに、島袋は軽快な動きでトイレの方向を指差した。
 親切心というより、むしろ下心にのみ突き動かされていたのだ。

 どこで何をやろうと、奥さんはもうこの檻からは出られないんだよ──。

 紗耶香がトイレにこもるのを見届けると、島袋はドアのそばで聞き耳を立てて、音という音に注意を払う。
 涼しい顔をした若妻がどんなふうにおしっこをするのか、それが楽しみで仕方がないのだ。

 便器の蓋を上げる音、着衣を脱いでいく音、用を足しながら水を流す音、トイレットペーパーを手繰(たぐ)る音。
 それらがすべて紗耶香の仕業なのだと思うと、島袋は居ても立ってもいられなくなり、玄関へ向かってずかずかと歩き出す。


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